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1.相続の放棄をする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。(民法第938条)

2.相続放棄は、相続人が自己について開始した相続の効果を、遡及的に消滅させる意思表示で、相手方のない単独行為です。また、家庭裁判所に対する申述の方式で行わなければならない要式行為とされ、家庭裁判所の申述受理裁判により、効力を生じます。

3.相続放棄は、限定承認と異なり、各相続人が行なうことができるから、個別に相続開始地の家庭裁判所に、申述申立てを行うことになります。

4.申立ては、申述書の提出により行い、申述書には当事者(相続放棄者)の氏名・住所、被相続人の氏名・住所、被相続人との続柄、相続の開始を知った年月日、相続放棄をする旨を記載し、当事者またはその代理人が、これに記名押印をしなければなりません。

5.ただし、判例は、当事者の真意に基づく以上、自署でなくても有効としています。なお、相続放棄の理由・動機を記載することまでは、要求されていません。

6.相続放棄は、財産上の行為であるから、相続人が申述申立てを行うためには、行為能力を必要とします。相続人が、未成年者、成年被後見人、被保佐人である場合は、相続放棄の申述申立ては、親権者、後見人および保佐人による代理によりあるいは、同意を得て行われます。

7.包括受遺者が、包括遺贈の放棄を行う場合も、包括受遺者は、相続人と同一の権利を要することから、第986条(遺贈の放棄)ではなく、本条によるべきと解するのが、通説・判例です。

8.共同相続人間では、一般的に利害の対立が存在するものであるから、未成年者や被後見人につき、相続放棄を親権者や未成年・成年後見人が行なう場合、利益相反行為に該当しないかという問題があります。たとえば、親権者Aと未成年者B、あるいは、複数の未成年者(B・C)が共同相続人である場合、Bにつき、相続放棄をなされると他の共同相続人の相続分が増加することになり、Bの不利益において、他の共同相続人を利することになるからです。

1.相続放棄の利益相反行為について、判例は、古くは、旧888条(現行826条)は、108条の特則であり、対象行為は、108条の法形式をとらなければならないとし、相手方のない単独行為である相続放棄には、その適用はないとしました。その後は、826条の趣旨が子の利益保護にあることから、適用範囲は108条とは異なるとして、適用範囲が拡大されました。

2.相続放棄に関しても、最高裁昭和53年2月24日判決は、協同相続人の一人である後見人による被後見人(未成年者)の相続放棄に関する事案において、次の通り判示しました。

3.すなわち、相続放棄をする者と、これによって相続分が増加する者とは、利益が相反する関係にあることは明らかです。「相続の放棄が、相手方のない単独行為である、ということから、直ちに民法826条にいう利益相反行為に当たる余地がない、と解するのは相当でない」として、大審院判例を変更しました。

4.しかしながら、必ずしも常に利益相反行為にあたるとは言えず、共同相続人である後見人が被後見人により先に、あるいは同時に自ら相続放棄をしている場合は、被後見人を代理して行う相続放棄は、「その行為の客観的性質から見て」利益相反行為にあたらない、としたことから、本判決についての評価が分かれます。

1.相続放棄申立権者に関しての、利益相反行為の判断について、判例は法律行為の種類・性質といった行為自体、あるいは外形から判断する形式的判断説に立っています。当該行為の動機・目的・結果などの具体的事情を考慮すべきとする、実質的判断説は採用していません。

2.なお、判例の形式的判断説と言っても、利益・不利益の判断において、当該具体的事情を考慮することを一切否定するものではありません。当該行為(相続放棄)の時点で、現在および将来生じ得る利害対立の可能性がない場合には、利益相反行為とならないことを認めたものである、との評価もあります。

3.学説には、共同相続人である親権者・後見人が、未成年者・被後見人全員とともに、相続放棄をしていれば、代理権濫用の問題は生じ得るとしても、利益相反行為とならないと解するものが多いようです。(ただし、親権者・後見人自身の相続放棄が先行あるいは同時になされるべきかは明確ではありません。)

4.民法第886条1項は、胎児に相続能力を認めており、胎児についても相続放棄を肯定する見解もあります。しかし、実務および多数説は胎児について相続放棄を否定しています。否定説に立ち、915条の熟慮期間も出生後に起算点が始まる、と解する立場もあります。

5.相続放棄の申述は、相続開始後、熟慮期間(915条)内に行われるべきですが、熟慮期間の起算点に関しては、議論もあります。

1.相続放棄は、相続人の相続放棄の意思を家庭裁判所に申述し、受理裁判によって効力を生じます。

2.家庭裁判所での相続放棄申述の受理は、一応の公証を意味するに止まり、相続の放棄が有効か無効かを終局的に確定するものではありません。その認定は、民事訴訟による裁判によってのみ終局的に解決することができます。この考えは、判例学説の一致するところです。

3.受理審判の法的性質について、①非裁判説は、申述受理を、相続放棄の意思表示を裁判所が公証するにとどまるとしています。

4.②裁判説は、受理審判を、家庭裁判所が申述の適否ないし効力を、調査・判断してなす、一種の受理行為であって、私人が意思表示を行うについて国家が協力する行為であり、広い意味での裁判と解しています。

5.③準裁判説は、受理審判は、相続放棄の意思表示を受理する公証行為であって、いわゆる裁判ではないが、審判(裁判)に準ずべき行為とみるべきとしています。③の準裁判説が通説的考えとみられています。

6.受理審判の範囲に関しては、上記の①非裁判説からは、申述書が法定の形式的要件を具備しているか、申述書に相続人とあるものが、熟慮期間内に申述しているかを審査すれば足りるとする、形式的審査説が主張されます。

1.相続放棄の裁判説、準裁判説からは、実質的要件についての審査を認める実質的審査説が主張され、通説および裁判例の多くが実質的審査説に立っています。

2.ただし、実質的要件についての審査範囲および審査の程度に関しては、さらに見解が分かれます。実質的要件の審査範囲については、相続人の真意に基づくか、相続人であるかの他に、法定単純承認にあたるかの点に関しては、相続放棄の事実の確定について、審判手続における職権調査主義による審理に、期待しています。

3.また、将来の紛争発生も未然に防止できるとの見地からは、広く実質的要件について実質的審理をすべきとの見解もみられます。

4.さらに、家庭裁判所の権限を越える実質的審査となるとして、審理対象を限定する見解もあります。この点は、むしろ、審理の程度の問題ともいえます。

5.相続放棄の効果発生については、申述受理が不可欠の要件であります。申述が却下(不受理)されれば、即時抗告は認められるものの、別訴で相続放棄の有効性を主張する道はないこと等を理由に、実質要件全体を対象とするが、要件欠如が明白であるかの限度で審理するのが妥当とする見解が、学説裁判例の多数です。

6.この点に関して、仙台高等裁判所は、いわゆる実質的要件については、その不存在が極めて明らかな場合に限り、審理の対象とすべきものと解するのが相当としました。

1.次に、受理審判の手続きについてご説明いたします。

2.まず申述に対する審理の方法は、申述者と申述者が提出した証拠書類に基づいて行われます。相続放棄の実質的要件に関しては、申述者に対する書面照会、および、疑義がある場合には、申述者に対する審問や調査が行われます。

3.相続放棄の申述が、要件を欠き不相当とされるときは、申述却下の審判がなされ、申述者に告知されます。申述却下の審判は、申述者に告知されたときに効力を生じ、申述者は、申述却下審判に対して、即時抗告をすることができます。

4.相続放棄を相当として申述受理審判を行うときは、審判書を作成せず、申述書に申述を受理する旨を記載し、家事審判官が記名押印することで足ります。受理審判は、申述書に受理する旨記載されたときに、効力を生じます。

5.相続放棄は、受理審判によって効力を生じ、実務は申述者に対する告知は、要しないと解しています。

6.受理審判は、相続人による適式な意思表示がなされたことを公証する実質を有し、申述受理審判には不服申し立て(即時抗告)が認められていないからであるが、実務上、申述者に対して申述受理の通知をする扱いがなされている。

7.また、相続人または利害関係人は、家庭裁判所に対し申述受理証明書の発行を請求することができ、共同相続人が相続登記申請をする際の添付書類となります。相続放棄の受理審判がなされても、相続放棄の有効性が確定するわけではないから、別訴において、相続放棄の効力を争うことは許されます。

1.相続の放棄の効力に関して、民法第939条は、相続の放棄をしたものはその相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす、と定めています。

2.相続放棄は、相続人が自己につき生じた相続の効果を、全面的に消滅させる意思表示です。

3.相続人のうち、配偶者が相続放棄者であるときは、配偶者相続人の不存在となります。血族相続人の場合は、放棄者の数だけ共同相続人が減少します。よって、他に同順位相続人が存在しなければ、次順位の血族相続人が相続人となります。

4.被相続人に配偶者および子がいる場合、配偶者のみに相続財産を帰属させることを希望して、子全員が相続放棄の申述を行う例も見られます。しかし、子全員が相続放棄をしても、次順位血族相続人が相続権を持ったことになり、相続放棄の目的は達せられません。家庭裁判所において、この点を、申述者に注意するなどの配慮が、相続放棄申述事件の審理の際には必要であるとの指摘もあります。

5.なお、相続放棄は相続財産の帰属のみに関わり、相続放棄者は相続財産に含まれない財産(受取人の固有財産と考えられる生命保険金請求権など)の取得、祭祀財産の承継、さらには、相続人不存在となる場合の特別縁故者として財産の分与を受けることも、妨げられないとされます。

1.相続人Aが、被相続人Bの配偶者であると同時に、Bの父母の養子として兄弟姉妹でもある場合のように、被相続人との親族関係から複数の相続資格が生じ得る場合があります。

2.相続資格の重複は、特に普通養子縁組を通して生じ得るが、同順位相続権については、異系列の相続権(配偶者相続権と血族相続権)の重複や、血族相続権同士(孫を養子とする場合の養子としての相続権および孫としての代襲相続権)の重複があります。

3.異順位相続権については、血族相続権同士(弟を養子とする場合の養子としての相続権と、兄弟姉妹としての相続権)の重複が考えられ、相続人が相続放棄を行った場合、全面的に相続資格を失うことになるのかが問題となります。

4.ただし、その前提である相続資格の重複自体を認めるかという点も、議論が分かれます。日本の普通養子縁組の利用目的や効果が幅広いことから、重複する相続資格が両立しない、あるいは、排斥し合う場合(たとえば、自己の非嫡出子を嫡出子とするために養子とした場合は、子について嫡出子と非嫡出子の地位は両立しない)を除き、相続資格の重複を認めるのが多数説です。

5.これに対して、相続資格の重複を一般的に否定する説、および、異系列相続権については、配偶者相続権と血族相続権の独立性から、重複を否定する説があります。

相続放棄の重複と放棄の影響

1.相続資格の重複を認める場合、相続人による相続放棄の影響の及ぶ範囲が、多分に問題となります。

2.同順位相続資格の重複について、一つの資格で相続放棄が他の資格にも及ぶとするか、あるいは、重複する相続資格について、選択的に放棄をすることができるとするかは、見解が分かれます。後者が多数説です。

3.異順位相続権の重複については、先順位相続権を放棄した場合、後順位相続権にも及ぶかが議論され、この点についても見解が分かれます。

4.第一に、先順位相続権の放棄は、当然に後順位資格での相続放棄を含むとする見解があります。

5.第二に、先順位相続権の放棄は、後順位資格には及ばず、独立して選択権の行使が認められる見解があります。

6.第三に、先順位相続権の放棄は、後順位資格による相続放棄を排斥しない旨が表示されない限り、後順位資格に及ぶとする折衷説が存在します。

7.相続資格の重複を認める以上、ひとつの資格についてのみ相続放棄をすることが不合理とも言えず、後順位相続資格の放棄については、相続人の意思に委ねるべきであります。しかし、意思が表示されなかったときに、後順位資格に及ばないとすることが、相続人にとって利益となるか否かの判断によって、第二と第三の見解が分かれてきます。

8.家庭裁判所の実務上は、相続放棄申述書に記載された被相続人との続柄により判断されています。

1.相続資格の重複を認める場合、相続人による相続放棄の影響の及ぶ範囲が、多分に問題となります。

2.同順位相続資格の重複について、一つの資格で相続放棄が他の資格にも及ぶとするか、あるいは、重複する相続資格について、選択的に放棄をすることができるとするかは、見解が分かれます。後者が多数説です。

3.異順位相続権の重複については、先順位相続権を放棄した場合、後順位相続権にも及ぶかが議論され、この点についても見解が分かれます。

4.第一に、先順位相続権の放棄は、当然に後順位資格での相続放棄を含むとする見解があります。

5.第二に、先順位相続権の放棄は、後順位資格には及ばず、独立して選択権の行使が認められる見解があります。

6.第三に、先順位相続権の放棄は、後順位資格による相続放棄を排斥しない旨が表示されない限り、後順位資格に及ぶとする折衷説が存在します。

7.相続資格の重複を認める以上、ひとつの資格についてのみ相続放棄をすることが不合理とも言えず、後順位相続資格の放棄については、相続人の意思に委ねるべきであります。しかし、意思が表示されなかったときに、後順位資格に及ばないとすることが、相続人にとって利益となるか否かの判断によって、第二と第三の見解が分かれてきます。

8.家庭裁判所の実務上は、相続放棄申述書に記載された被相続人との続柄により判断されています。

1.被相続人Aが死亡し、相続(第一の相続)の開始後、Aの相続人Bが相続の承認・放棄をせずに死亡した場合、Bの相続人Cの再転相続の問題ですが、代襲相続の場合と異なり、第一の相続開始によってBに未確定ながら相続の効果が生じており、第一の相続に関する選択権はBにおける相続の効果の帰属・被帰属を確定させるものであって、直接Cへの帰属を確定させるものではありません。

2.そこで通説・判例は、再転相続人Cが有する第一の相続についての選択権は、Bの相続人としての地位に基づき承継したものと解しています(承継説)。

3.Cが行なう第一の相続についての選択権の行使は、Bの相続人としての第二の相続についての選択権に依存することになり、判例は、第二の相続を放棄したときは、その後、第一の相続の放棄・承認はなし得ません(Cが第二の相続を承認したときは、第一の相続に関して承認・放棄のいずれもなし得ることになります)。

4.なお、第二の相続について選択権を行使していない間であれば、先に第一の相続について選択権を行使することは自由です。第一の相続を放棄した後に第二の相続を放棄したとしても、先に行われた相続放棄が無効になることはないとしています。

5.学説の多数もこれに賛成していますが、少数説は先後を問わず、第二の相続を承認した場合のみ、第一の相続の選択権が認められるとするため、先に行われた第一の相続に関する選択権は、第二の相続について放棄した場合無効となるとしています。

1.相続放棄は、代襲原因にはあたらないため、第一順位(子)・第三順位(兄弟姉妹)の血族相続人が相続放棄を行った場合、放棄者の子には代襲相続権はありません。

2.この点、昭和37年改正前は、代襲原因は「死亡」および「その相続権を失った場合」と定められていたことから、相続放棄が代襲原因に含まれるかの点については、疑義が生じていましたが、昭和37年改正により明示に否定されたことになります。

3.代襲原因として、相続開始時の「死亡」の他に、生存相続人の欠格・廃除を認めたにも関わらず(「生者を代襲することはない」との原則の例外とみる)、相続放棄を代襲原因としない根拠は、必ずしも明確ではありません。

4.相続放棄が、任意処分であることが理由であるとしても、親の放棄の自由によって、その子まで代襲相続権を失うことは、不合理との批判もあります。

5.なお、各国の立法例では、相続放棄を代襲原因として認めるものがあります。フランス法は、2006年6月23日相続法改正により、相続放棄を代襲原因と認めました。

6.これは、相続人間の公平(親系の平等)が理由とされるが、祖父母から孫への(親を飛び越えた)より若い世代の財産承継を、可能とするための狙いがあるとされています。

1.民法第939条は、相続放棄の効果として、放棄者は「はじめから相続人とならなかったものとみなす」と定めています。相続開始によって、相続人に不確定ながら生じていた相続の効果は相続放棄によって遡及的に消滅し、放棄者は相続から完全に離脱したことになります。

2.そこで、放棄者は、相続開始のときに、相続人として存在しなかったことになります。たとえば、法定相続の帰属に関して、被相続人甲に、配偶者乙と子A・B・Cがいた場合、乙が相続放棄をしたとします。

3.この場合、配偶者相続人がいないことになり、血族相続人A・B・Cのみに、相続分が帰属することになります。また、Aが放棄した場合は、乙の相続分には変更がなく、血族相続人の相続分が、B・Cのみに帰属します。

4.このような相続放棄による相続分帰属についての考え方は、昭和37年法律第45による本条の改正によって明確化されたものです。

5.昭和37年改正前の旧939条二項において、放棄者の相続分が、他の共同相続人へ各自の相続分に応じて帰属する旨、定められていたことから、放棄者の相続分の帰属に関して議論を生じていました。

6.たとえば、上記の場合、子Aが相続放棄をした場合の相続分の帰属について、見解が分かれていたのです。

1.改正前の旧939条二項について、配偶者・子A・B・Cがいる場合に、子Aが相続放棄をした場合、第一の見解は配偶者の相続分と血族相続人の相続分に分ける「株分け説」に立ち、放棄者Aの相続分は、B・Cのみに帰属すると考えました。

2.第二の見解は、放棄者の相続分は、他の共同相続人全員に相続分(法定相続分あるいは具体的相続分)に応じて帰属するとする「頭分け説」でありました。

3.昭和37年改正後の939条は、「株分け説」を採用したことになりますが、改正以前に開始した相続事案において、判例は旧939条二項の解釈として「頭分け説」を採用したものがあります。

4.相続放棄の遡及効は、第三者の利害にかかわることがあります。特にA死亡後、相続人Bが相続放棄をした場合、Bの債権者Yは、Aの遺産から債務の履行を受けることができなくなります。そこで、相続人の放棄に対して、第三者保護の必要性が議論されます。

5.相続人による相続放棄について、詐害行為取消権を認めるべきかという点は、議論があります。たとえば、被相続人Aの債権者(相続債権者)Xは相続人Bが相続放棄をすれば、Bに対して債務の弁済を求めることはできません。

6.また、Bの債権者(相続人の債権者)Yは、相続財産から弁済を受けることはできなくなります。

7.そこでXあるいはYが、Bの相続放棄を、詐害行為として取り消すことができないかという問題があります。

1.相続人による相続放棄について詐害行為取消権を認めるべきか否かについてですが、判例は、相続債権者Xに関する事案で、相続放棄のような身分行為は、①既得財産を積極的に減少させる行為ではなく、②相続放棄について、他人の意思による強制的介入は認めるべきではないとして、否定説に立ちます。

2.相続人の債権者Yに関する事例については、東京高等裁判所の裁判例ですが、「もし、詐害行為としてその取消しを許すとすれば、その結果は、結局承認を強制することになるから、相続放棄の如きは、他人の意思によってこれを強制すべきではない」として、同様に詐害行為取消権の適用を否定しています。

3.なお、最高裁判所の判例でも、Yとの関係で相続人の相続放棄は、権利濫用とならないとしたのもあります。

4.なお、事実上の相続放棄にあたるような遺産分割協議が行なわれた事案において、判例は相続人の債権者による詐害行為取消権行使を認めており、これとの関係が、問題とされています。

5.学説は、従来の通説は、相続債権者Xと相続人の債権者Yとの区別をすることなく、詐害行為取消権の行使を否定していました。その理由は、判例と同じようです。

6.すなわち、①相続行為は身分行為であること、②相続放棄の自由に対して債権者が干渉することは望ましくないこと、③相続放棄は債権者の財産減少行為ではないこと、さらに、④相続放棄の遡及効を重視し、相続財産が放棄者の財産となることは一度もなく、債権者の債権の引当てとして期待すべき債務者の責任財産ではない、ことなどを理由とします。

1.相続人の相続放棄について、相続債権者Xと相続人の債権者Yを区別し、Yに詐害行為取消権を肯定する見解が、有力に主張されています。

2.相続放棄に関して、XとYの利害状況は異なり、相続放棄制度の趣旨(債務の強制はできない)に照らせば、Xに対する責任を免れるために相続人が行なう選択は、正当なものと解釈できます。

3.一方、相続人自身が、債務負担を約束したYに対しては、債務を誠実に履行すべき相続人の放棄の自由により、債権者の保護を重視すべきだとしています。

4.肯定説に立つと、Bの相続放棄によって、相続分が増加した他の共同相続人の利益保護も問題となるが、民法第424条一項但し書きによって、詐害行為取消権はこの者が、詐害の事実を知っていることが要件となっています。

5.また、肯定説に立った場合の詐害行為取消権の効果も問題となるが、取消しの効果をYの債権の保全に必要な範囲にとどめれば、放棄者に対して相続放棄の全面的な取消しによる単純承認の強制にはならいでしょう。

6.相続放棄による相続分の変動(放棄者への相続分の非帰属)については、判例は、放棄者Bの債権者Yが、被相続人Aの遺産である不動産について、Bの法定相続分に応じた持分につき仮差押えを行った事案に関して、次のように判示しました。

7.すなわち、「相続人は、相続開始時に遡って相続開始がなかったと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても登記等なくしてその効力を生ずる、と解するべき」としました。

8.つまり、放棄者以外の共同相続人は、登記なくして仮差押えの効力を否定できるとする登記不要説に立つことを明らかにしたのです。

1.相続放棄と登記に関して、判例は、登記不要説に立つことを明らかにしました。学説も、概ね登記不要説に立っています。

2.同じく遡及効を持つ遺産分割協議について、判例は、登記必要説に立っていることとの関係も問題となるが、相続放棄に関して登記不要とする理由は、遡及効の観点のみではなく、相続放棄をめぐる具体的利益状況に基づくものであります。

3.次に、相続放棄者の管理義務について検討します。相続人は、相続開始により相続財産を承継し、相続財産の管理義務を負うが、これは、熟慮期間中の相続人による選択権行使前の暫定的な状態であります。

4.相続放棄によって、相続の効果を確定的に消滅させたときは、相続財産管理義務も消滅します。

5.しかし、相続開始後に、相続財産の現実の管理を行っていた相続人Aが相続放棄をしたような場合、他の競争相続人や次順位相続人が、ただちに相続財産の管理をはじめることができるとは限りません。

6.相続放棄者Aが、管理義務消滅に伴い、相続財産の管理も放棄してしまうことになれば、相続財産は管理者不在の財産として放置されかねません。

7.そこで、他の相続人、次順位相続人、相続債権者、受遺者などの利益のために、相続放棄者は放棄後も「放棄によって相続人となった者(次順位相続人のみならず、他の共同相続人をも含むと解されている)が相続財産の管理をはじめることができるまで」相続財産の管理を、継続すべきことが定められました(民法第940条)。

1.相続放棄者の管理継続義務は、本人自身の管理義務に基づくものではないため、一種の事務管理に基づくものとされています。

2.相続放棄者は、「自己の財産におけると同一の注意」をもって、相続財産の管理を継続します。これは、相続放棄後も、相続開始後の相続財産管理における「固有財産におけるのと同一の注意」と同様の注意義務で、管理を継続すれば足りることを意味します。

3.しかし、放棄によって、相続財産は他人の財産となることから、善管注意義務を負うべきであると考えられます。

4.ただ、相続開始は相続人の意思に関係なく発生したことであり、本来の相続財産の管理責任者でもない放棄者に、重い責任を負わせるのも酷であります。

5.また、この管理は、相続管理開始後の延長であって、限定承認後の相続財産管理義務との均衡という点も考慮されたものであるとされています。

6.相続放棄者は、他人の財産となった相続財産を、一種の事務管理として管理し、委任の規定が準用されいてるが、委任者は相続人と考えられています。

7.放棄者による管理行為は、民法第103条の範囲に限られ、処分行為は含まれていません。相続放棄者が、相続財産の全部あるいは一部を隠匿したり、自分の利益のために処分したような場合に、単純承認とみなされる場合があります。

8.なお、相続財産管理の注意義務を怠り、相続人に損害を与えた場合は、損害賠償責任を負います。

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