越谷の司法書士・行政書士事務所「美馬克康司法書士・行政書士事務所」
司法書士・行政書士による相続のオリジナル解説です。
相続手続きについて、相続財産から生命保険金の相続、保険債務・身元保証、同時死亡の推定、特別受益者、に分けて解説しています。
相続についてお困りでしたら、越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所へご相談ください。
相続人調査・古い戸籍謄本の取得、亡くなられた方の銀行手続き(残高証明・相続人への移行)、自動車相続手続きなど、お任せください。生前贈与のご相談もどうぞ。
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民法第896条は、相続の一般的効力を定めています。
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」との、規定です。
この条文は、財産法上の地位の包括承継を、定めたものです。
具体的な権利や義務は、当然承継されます。
権利・義務として、具体的に発生していない財産法上の法律関係ないし法的地位も、承継されます。
たとえば、申込を受ける地位、売主として担保の責に任ずる地位、善意者・悪意者の地位なども、承継します。
生命保険金は、生命保険契約で、被相続人を被保険者とし、相続人(妻や子)を、受取人に指定した場合、被保険者の死亡により支払われます。
(本テーマより、受取人が、第三者である場合は、 割愛いたします。)
この生命保険金が、相続財産となるか否かは、契約内容により決まりますが、相続財産となる場合は、限られています。
「受取人」を、誰にするかで異なりますので、場合分けをして検討します。
一 受取人を、相続人中の特定者(たとえば、長男A)と、した場合。
二 受取人を、「相続人」と、指定した場合。
三 受取人を、被保険者自身と、した場合。
四 受取人が死亡し、被相続人が再指定をしない場合。
通常の債務は、相続されます。
被相続人に属した義務として、承継されるのです。
問題は、保証債務や身元保証、包括的信用保証です。
当事者間の、個人的信頼関係を前提とするからです。
一 継続的債権関係から生ずる、不特定の債務の保証を、継続的保証といいます。
二 身元保証債務や、包括的信用保証債務は、相続の対象とはなりません。
三 最高裁判所の判例も、次のように述べ、相続を否定しています。
四 ただし、身元保証契約等に基づいて、すでに具体的に発生した債務は、相続の対象となり、承継されます。
同時死亡の推定とは、たとえば、同一危難にあって親子が死亡したが、死亡の前後が不明の場合、同時に死亡したと推定するものです。
同時死亡の推定は、民法第32条の2で規定されています。
民法32条の2、は次のとおりです。
「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」
特別受益者とは、共同相続人のうちに被相続人から、特別に贈与等を受けた者です。
特別受益者の取得分は、遺産に持ち戻して、相続分を算出します。
相続人間の衡平を、はかる趣旨です。特別受益者とされるのは、共同相続人のうちで、被相続人から、次の利益を受けた者です。
(1) 婚姻、養子縁組のため、もしくは生計の資本として、贈与を受けた者
(2) 遺贈を受けた者
共同相続人には、すべての相続人がふくまれます。
よって、直系尊属や兄弟姉妹が、相続人となる場合も、持ち戻しを免れません。
相続人である以上、単純承認をした場合、限定承認をした場合、いずれも該当します。
ただし、相続放棄をした者は、当初から相続人でなかったことになりますから、特別受益者に該当しません。
代襲相続人が、被相続人から、特別な利益を受けていた場合の問題です。
代襲原因発生後の受益であれば、持ち戻しの対象となることは、当然です。
問題は、代襲原因発生前の受益が、持ち戻しの対象となるか否かです。
通説的見解は、代襲原因発生前の代襲相続人は、相続人ではないからとして、持ち戻しを不要としています。
しかし、共同相続人間の、衡平の維持という立法趣旨から、持ち戻しを認めるべきだという考えが、有力に主張されています
受贈当時には、推定相続人の地位を有していなかったが、その後、贈与者の配偶者となったり、養子となった場合の、問題です。
贈与と、婚姻ないし縁組との間に、牽連関係がある場合は、持ち戻しを肯定する考えを、採用した審判例があります。
しかし、すべて持ち戻しの対象とすべきとの考えが、通説的です。
包括受遺者は、持ち戻しを要するかについても、争いがあります。
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することから、持ち出し義務を認めるべきだという、積極説が有力です。
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2024年4月1日より、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年、また遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。義務に違反すると10万円以下の過料の対象となります。できるだけ早めに手続きをするのが推奨されます。
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