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1.相続放棄の利益相反行為について、判例は、古くは、旧888条(現行826条)は、108条の特則であり、対象行為は、108条の法形式をとらなければならないとし、相手方のない単独行為である相続放棄には、その適用はないとしました。その後は、826条の趣旨が子の利益保護にあることから、適用範囲は108条とは異なるとして、適用範囲が拡大されました。
2.相続放棄に関しても、最高裁昭和53年2月24日判決は、協同相続人の一人である後見人による被後見人(未成年者)の相続放棄に関する事案において、次の通り判示しました。
3.すなわち、相続放棄をする者と、これによって相続分が増加する者とは、利益が相反する関係にあることは明らかです。「相続の放棄が、相手方のない単独行為である、ということから、直ちに民法826条にいう利益相反行為に当たる余地がない、と解するのは相当でない」として、大審院判例を変更しました。
4.しかしながら、必ずしも常に利益相反行為にあたるとは言えず、共同相続人である後見人が被後見人により先に、あるいは同時に自ら相続放棄をしている場合は、被後見人を代理して行う相続放棄は、「その行為の客観的性質から見て」利益相反行為にあたらない、としたことから、本判決についての評価が分かれます。
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