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相続分ゼミ

越谷 司法書士のオリジナル解説

司法書士・行政書士による相続のオリジナル解説です。
相続分について、法定相続分、指定相続分、遺留分と指定相続分、相続資格重複、相続人の重複と分けて解説しています。“せんげん台駅前大学”のゼミ形式です。

相続についてお困りでしたら、越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所へご相談ください。

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“せんげん台駅前大学”のゼミ形式で、相続分について解説していきます。
本日は「法定相続分」についてです。

教授:

今日から相続分についてのゼミをはじめます。

相続人が数人あるときは、相続財産がその共有に属し各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します。「相続分」とは、共同相続に際して各共同相続人が相続財産を承継すべき割合を言います。

それでは、柳田君、指定相続分と法廷相続分について説明してください。

柳田:

はい。指定相続分とは、被相続人が相続分を指定することです。遺留分に関する規定に反しない限度で被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を定め、または相続分を定めることを第三者に委託することができます。

法廷相続分とは、法律で定められた共同相続人の相続分のことです。指定相続分の定めがない場合に適用されます。

 

教授:

そうですね。それでは、大川さん、昭和56年1月1日以降に開始した相続における共同相続人の法廷相続分について説明してください。

大川:

はい。相続の第一順位として、子および配偶者が相続人であるときは、子・二分の一、配偶者・二分の一で相続します。

相続第二順位として、配偶者および直系尊属が相続人であるときは、配偶者・三分の二、直系尊属・三分の一で相続します。

相続第三順位として、配偶者および兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者・四分の三、兄弟姉妹・四分の一で相続します。

 

教授:

そうですね。代襲相続人の法廷相続分について、この代襲相続について、長倉君説明してください。

長倉:

はい。相続人となる直系卑属(代襲者)の相続分は、その直系尊属(被代襲者)が受けるべきであった相続分と同じです。直系卑属(代襲者)が数人あるときは、その直系尊属(被代襲者)が受けるべきであった部分について、代襲者は相続分にしたがって相続します。

 

教授:

はい。それでは兄弟姉妹の代襲相続について、渡良瀬さん説明してください。

渡良瀬:

代襲者の法廷相続分は、被相続人の兄弟姉妹(被代襲者)の子が相続人(代襲者)となる場合も、その直系尊属(被代襲者)が受けるべきであった相続分と同じです。ただし、昭和56年1月1日以降に開始した被相続人の兄弟姉妹の相続については、再代襲の規定は適用されません。

 

教授:

はい、よくできました。
今日はこれで終わります。

“せんげん台駅前大学”の、堅物教授の、相続分ゼミを開催します。
本日は「指定相続分」についてです。

教授:

今日は指定相続分についてのゼミをはじめます。

北野君、指定相続分について説明してください。

北野:

はい。被相続人は、遺留分に関する規定に反しない限度で、遺言で法廷相続分とは異なる共同相続人の相続分を定め、または相続分を定めることを第三者に委託することができます。

これによって指定された相続分を指定相続分といいます。指定相続分は法廷相続分に優先します。

 

教授:

はい、よくできました。相続分の指定は、一部の者について行うことができるか否かについて、千木良さん説明してください。

千木良:

はい。相続分の指定は、共同相続人の全部または一部の者について行うことができます。たとえば、遺言で、「配偶者A、長男B、長女Cの相続を各々三分の一と指定する」あるいは「長男Bの相続分を二分の一と指定する」と相続財産全体に対する分数的割合で示されるべきです。しかし、不動産・動産・株式などのように相続財産の種類を指定しても、また特定の相続財産を指定しても、それが相続財産全体に対する相続すべき割合を指示している限り、差し支えないと解されています。

 

教授:

それでは、相続債務について、だれか説明してください。町田君いかがですか。

町田:

はい。金銭債務のような可分債務は、共同相続人の法廷相続分に応じて当然分割承継とされるとするのが判例です。相続債務を遺言によって相続分の指定をすることができるか否かについては、問題です。相続債務の割合を変更するには、相続債権者の同意を要し、同意がない限り、相続債務の負担割合指定は共同相続人間の内部関係にとどまり、相続債権者に対しては、これを主張できません。相続債権者は、共同相続人に対して、法廷相続分にしたがって債務の負担を主張することができると解するのが、学説の多数と思われます。

 

教授:

はい、よくできました。
今日はこれで終わります。

“せんげん台駅前大学”の、堅物教授の、相続分ゼミを開催します。
本日は「遺留分と指定相続分」についてです。

教授:

今日は遺留分と指定相続分についてのゼミをはじめます。
相続分の指定は、遺留分に関する規定に反することはできないとの規定がありますが、この点について説明してください。それでは、児玉ちゃん。

児玉:

はい。遺留分に反する相続分の指定があった場合には、遺留分に反する規定がただちに無効となるのではなく、遺留分の侵害を受けた遺留分権利者の遺留分減殺によって減殺されるにとどまるとするのが、通説・判例かと思います。

 

教授:

そうですね。遺留分に反する相続分の指定があった場合において、遺留分権利者が遺留分減殺請求ができる例を挙げて説明してください。

誰かいませんか。松倉さん、いかがですか。

松倉:

はい。たとえば、遺言で配偶者A・相続分十分の八、長男B・相続分十分の一、次男C・相続分十分の一が指定された場合には、BおよびCは遺留分を侵害されたことになります。BおよびCからAに対して遺留分減殺請求が行使された場合には、Aに対する相続分の指定はその遺留分に反する限度で減殺されることになります。遺留分減殺請求権は、BまたはCのいずれかの者だけが行使することもできます。BまたはCからの遺留分減殺請求がなければ、Aは指定通りの相続分で相続することができます。

 

教授:

相続分の一部指定について、篠原君説明してください。

篠原:

遺言で、一部の相続人について相続分の指定があった場合、または委託を受けた第三者が一部の相続人について相続分の指定をした場合には、他の共同相続人の相続分は、法廷相続分の規定にしたがいます。

 

教授:

相続分の指定を受けた相続人の死亡について、どなたか説明してくれますか。
中尾さんいかがですか。

中尾:

はい。遺言で相続分の指定を受けた相続人Bが遺言者Aよりも先に死亡した場合は、Bの相続人Cは、Bを代襲することはできないとされています。遺言者は、いつでも生存中は遺言の全部または一部を撤回することができるのであり、遺言の効力発生前の相続分の指定は、なんらの権利を持つものではないからです。

 

教授:

はい、よくできました。
今日はこれで終わります。

せんげん台駅前大学の、堅物教授の、相続分ゼミを開催します。
本日は4回目、「相続資格重複」についてです。

教授:

今日は相続資格重複についてのゼミをはじめます。
相続資格の重複とは同一人が養子と代襲相続人というように重複する相続権を取得することを言います。椎名さん、もう少し詳しく説明してください。

椎名:

はい。たとえば、被相続人AがAの子であるBの子C(Aの孫)を養子としている場合に、もしBがAよりも先に死亡したときには代襲相続が発生し、CがBを代襲して被相続人Aを相続します。この場合、Cは、①Bの代襲相続人の地位で被相続人Aの相続人となり、また、②被相続人Aの子(養子)としての地位で相続人でなります。

このように、相続人が重複して相続資格を持つ場合を、相続資格の重複といいます。相続資格を重複した場合には、その相続人には、ふたつの地位にもとづく相続分を加算して取得することができるか否かという問題があります。

 

教授:

大変よくできました。それではこちらから事例を出しますから、もう少し詳しく説明してください。そして、その場合の妥当性まで述べてください。

先ほどの椎名さんの事例の登場人物をお借りしますね。Aが、Aの子であるBの子C(Aの孫)を養子としている場合に、Cの親Bが死亡した後にAが死亡したときどうなりますか。

小竹さん、どうですか。

小竹:

この事例では、椎名さんのご説明通り、CはAの養子およびBの代襲相続人としての相続を有します。民法上、養子としての相続資格と代襲相続人としての相続資格が予定されており、そこでの資格も排他的なものでないということから認められています。

そして、妥当性の問題ですが、二重の資格で相続することは、同一人物にもかかわらず他の相続人にとって、不公平ではないかと考えられます。しかし、法律上は、相続人と代襲相続人という二つの相続資格を有するわけですから、不公平ではありません。

 

教授:

そうでね。よくできました。今日はこれで終わります。

せんげん台駅前大学の、堅物教授の、相続分ゼミを開催します。
本日は5回目、「相続人重複」についてです。

教授:

前回に続き相続資格の重複を学習しましょう。まず事例を言います。

Aの養子Cが、Aの実子Bと婚姻した場合において、Aが死亡、次いでCが死亡したとき、についてだれか説明してください。なお、BC間にはその直系卑属はいません。

青島:

はい。私が答えます。

Bは、Cの配偶者およびCの兄弟姉妹として相続分を有するかという問題です。先例は、Bは配偶者としての相続分のみを取得し、Cの兄弟姉妹としての相続分は取得できないとしています。本事例の場合、まず配偶者としての相続権を認めることについては、学説上争いはありませんが、兄弟姉妹としての相続権を認めるか否かについては議論があるとされています。

 

教授:

結構です。それでは次の事例はどうでしょうか。

Aは、婚姻以外の女性甲との間に生まれた子Cを認知し、Aの妻BとともにCを養子にした後に、Aが死亡したときはどうでしょうか。南君いかがでしょうか。

南:

Cは、Aの養子(嫡出子)という地位と、Aの嫡出でない子という地位とで相続分を取得できるかという問題です。Aから認知されている同一人Cに嫡出子と嫡出でない子という法的地位が両立するものではありません。Cが養子縁組で嫡出子という法的地位を取得したことにより、それまでの嫡出でない子としての法的地位を失うと解されます。本事例の場合は、嫡出でない子から嫡出子という身分への転換が生ずるから、相続資格の重複という問題は生じないというべきです。

 

教授:

そうでね。よくできました。次の事例はどうでしょうか。

兄Aが弟Cを養子にした場合において、Aを被相続人とする相続につき、相続人Cが相続の放棄をしたとき。真下君どうぞ。

真下:

この場合、相続の放棄は、相続人が自己のために開始した相続の効力を受けることを拒絶してその効力を消滅させる意思表示であるから、被相続人Aの養子Cが相続の放棄をしたときは、当然、第一順位たる直系卑属としての相続権、および次順位たる兄弟としての相続権を放棄したものと、解すべきであると思います。

 

教授:そうですね。では今日はこれまで。

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