越谷の司法書士・行政書士事務所「美馬克康司法書士・行政書士事務所」
司法書士・行政書士による相続のオリジナル解説です。
債権の相続について、建物貸借権、損害賠償請求権の相続、妻の相続権に分けて解説しています。
相続についてお困りでしたら、越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所へご相談ください。
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民法第896条は、相続の一般的効力を、規定しています。
民法第896条
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」
この規定より、相続の一般的効果として、被相続人の死亡により被相続人に属していた一切の権利義務が、包括的に相続人に承継されます(包括承継)。
この効果は、相続人が相続開始の事実を知るか否かは、関係ありません。
相続登記の有無も、関係ありません。
要するに、この効果は、法律上当然に生じる旨を定めたものです(当然承継)。
建物賃借権(借家権)は、財産権であり、当然に相続されます。
しかし、現住者の居住保護という側面も、無視できません。
たとえば、被相続人と同居しているのが内縁の妻であるとか、事実上の養子の場合、家主や相続人からの明渡請求によって、彼女らは住居を失うという不都合が生じます。
共同相続の場合に、賃貸人からの、解除または解約申入れ、さらに、それらを前提とする明渡請求を、誰に対してするかの問題があります。
賃貸人は、相続人全員に対して、意思表示をしなければならないと、解されています。
不法行為や債務不履行による損害賠償請求権は、財産上の権利として、相続されます。
ただし、生命侵害の場合、財産的損害の賠償請求権、非財産的損害の慰謝料請求権について、若干の問題があります。
それは、死者の権利主体性の、観点からの問題です。
さらに、慰謝料請求権の場合は、一身専属性の、観点からも問題があります。
この問題を、検討します。
慰謝料請求権については、一身専属性の問題があります。
当初判例は、被害者が、慰謝料請求の意思表示をすれば、それ以降通常の金銭債権として相続され、被害者の一身に専属するものでない、としました。
慰謝料請求の意思表示は、意思の表白をもって足り、加害者に到達することを要しないと、されました。
また、その表白も、緩やかに解されていました。
たとえば、「残念、残念」とか、「向こうが悪い」と、いいつつ死んだ場合は、意思表示
があり、とされました。
さらに、「お母さん、痛いよ」も、意思表示とされました。
しかし、「助けてくれ」は、それに当たらないと解されました。
これは、意思表示ができないほどの重傷とか、即死の場合は、被害者に不利です。
最高裁判所は、慰謝料請求権は、当然に相続されるとしました。
慰謝料請求権は、被害法益が被害者の一身に専属するのみで、単純な金銭債権として、意思表示の有無を問わず、当然に相続されると、解したのです。
民法第890条は、配偶者の相続権を、規定しています。妻の相続権が問題です。
民法第890条の規定です。
「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
この場合に、-----相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」
婚姻の死亡解消に際して、相続という方法で、財産関係の清算を行うものです。
内縁の配偶者は、戸籍に現れませんから、相続権はありません。
内縁が破たんして解消した場合は、財産分与請求権が認められています。
これを類推適用して、死亡解消 の場合に生存配偶者を保護できないでしょうか。
残念ながら、最高裁判所は、平成12年3月10日の判決で否定しました。
すなわち、内縁関係の死亡解消の際には、財産分与請求が出来ないとしました。
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