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親族法について、婚約や婚姻の成立、婚姻障害、婚姻の取消し、婚姻の効力、離婚などに分けて豆知識を紹介しています。

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婚約は、結納の授受があった場合に成立するのですか。

いいえ。結納の授受は関係ありません。

男女 が、誠心誠意をもって将来夫婦になるという合意があれば、婚約があったといえます。 慣習上の儀式は、関係ありません。

婚姻適齢は、男性18歳、女性16歳ですので、17歳の男性と15歳の女性の婚約は無効ですね。

いいえ。

婚約の社会的意味を理解できる能力(意思能力)があれば、婚姻適齢に達しない者がした婚約も有効です。
しかし、この場合、その婚約は取り消すことができます。

結婚している男性が、「妻と別れるから結婚しよう」と言うので婚約した場合は、その男性にたいし、現在 の妻との離婚及び婚約した女性との結婚を請求できますか。

いいえ。

このような婚約は、公序良俗(おおやけの秩序、善良の風俗)に反するので無効ですから、そのような請求は出来ません。

婚約しましたが、気乗りがしないので婚約破棄をしたいと思います。
可能でしょうか。

はい。

婚姻は、当事者の自由な意思によって成立すべきものであり、婚約しても婚姻の履行を強制することはできません。
このことから、婚約当事者は、いつでも、特別の理由がなくても、一方的に婚約の破棄ができます。

この場合、婚約を破棄した者は、損害賠償が必要でしょうか。

はい。

正当な理由なく婚約を破棄した者は、相手方に損害賠償責任を負います。
この損害賠償責任は、債務不履行責任だといわれています。

婚姻が成立しなかった場合、結納金はどうなりますか。

結納を受領した者は、返還義務を負います。

しかし、結納の贈与者が、婚姻の不成立について責任がある場合は、返還請求はできません。

結納を受領後、同居をして一緒に生活を始めましたが、婚姻届出をする前に破綻した場合の結納金はどうなりますか。

受贈者は結納を返還する必要はありません。

この場合、事実上の婚姻(内縁)が成立しているので、受贈者は結納を返還する必要はありません。
ただし、一緒に生活した期間が比較的短く、しかも、当事者間で夫婦としての思いやりを欠き、深い信頼関係を築くことが出来なかったような場合は、返還義務があるとされています。

知らないうちに、婚姻届を出されましたが、婚姻は成立していますか。

いいえ。

男女間で、婚姻をする意思がなければ、婚姻届が受理されても無効です。

婚姻意思とは、一緒に婚姻の届出をしようとする意思ですか。

いいえ。

婚姻意思とは、当事者間で夫婦共同生活をおくる意思です
(判例および一般的な考え)。

婚姻意思を欠く、として無効とされる場合は、どのような場合ですか。

最高裁判所判決(昭和44年10月31日)に次のようなのがございます。

事案は、「せめて子供だけでも入籍させたいとの、女性の希望で、子供の入籍後に離婚する旨の誓約書を取って婚姻届を提出したというもので す。」 

最高裁判所は、次のように判決しました。
「男女間には、子供に嫡出子としての地位を得させるための便法として婚姻の届出についての意思の合致は認められます。しかし、男性には、 女性との間に、真に夫婦関係の設定を欲する意思はなかったのですから、婚姻は無効です。」

男女間で、婚姻しようと婚姻届を作成しましたが、女性が事故で意識を失いました。それで、男性が1人で届出をしました。有効ですか。

はい。

有効です。

婚姻にあたって、婚姻期間を20年と定めました。当事者の意思の合致がありますから、有効ですね。

いいえ。

婚姻期間20年という部分が無効です。一生涯夫婦となります。

婚姻適齢とは、何ですか。

男性は18歳、女性は16歳・・・

男性は18歳、女性は16歳にならないと、婚姻をすることができないということです。

それでは、婚姻適齢に達しない者の、婚姻届は役所が受け付けてくれないということですね。

そのとうりです。

仮に、役所があやまって受け付けても無効ですね。

いいえ。

無効ではなく、取消できる原因となります。

重婚の禁止とは、何ですか。

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることが出来ないことです。

この場合の配偶者は、内縁の配偶者を含まないと思いますが、実際に重婚が生じる場合は、ほとんど考えられないのではないでしょうか。

その通り。

配偶者は、法律上の配偶者であって、内縁の配偶者を含みません。
また、ご指摘の通り、婚姻をしている者について、誤って婚姻届が受理される場合は、本当にまれでしょうね。

しかし、離婚後に、新たな婚姻届が受理されたが、前婚の離婚が詐欺を理由に取り消された場合、前婚は復活しますから、重婚となりますね。

女性が再婚するには、前婚の解消又は取消しの日から6ヶ月を経過しなければならないそうですが、例外はありますか。

再婚禁止期間の例外ですね。

たとえば、女性が前婚の解消または取消しの前から懐胎していた場合、その出産の日から再婚禁止の制限はなくなります。また、前夫と再婚する場合も、6ヶ月を待つ必要はありません。

おじと姪とは、婚姻 をすることができますか。

いいえ。

直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができません。
おじと姪とは、3親等の傍系血族ですから、婚姻はできませんね。

養子と養親の子供は、2親等ですから婚姻できませんね。

いいえ。

この場合は法定血族ですから、婚姻を禁止する優生学的理由・道義的理由はありませんから、婚姻はできます。

直系姻族である者及び直系姻族であった者の間では、婚姻は禁止されるとの事ですが、具体例で教えてください。

はい。

直系姻族である者の間での婚姻禁止としましては、A男・B女夫婦間で、A男死亡後にB女が、舅Cとの婚姻が禁止される事例があります。

直系姻族であった者の間での婚姻禁止としましては、A男・B女夫婦間で、離婚後にB女が、A男の父親Cとの婚姻が禁止される事例があります。

未成年者が婚姻をするには、父母の同意が必要ですが、父母が離婚
している場合は、どちらか一方のみの同意でよろしいか。

いいえ。

父母が離婚している場合でも、その双方が同意権者です。
ちなみに、親権を喪失した父母でも、同意権を有します。

養子である未成年者が、婚姻する場合には、実親と養親の双方の父母の同意が必要ですか。

いいえ。

この場合は、養親だけの同意を得れば良いです。

未成年者の婚姻に、父母の同意は絶対ですか。
例外があれば、教えてください。

はい。

例外はあります。
父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意があれば良いです。
また、父母の一方の行方が知れないとか、死亡したとき、あるいは意思表示が出来ないときも、他の一方の同意だけでたります。

父母の双方が、死亡している場合には、代わりに未成年後見人の同意を得ればよいですか。

いいえ。

この場合は、誰の同意も必要ありません。
家庭裁判所の許可も不要です。
父母の双方が、行方不明とか、意思を表示できないときも同様です。

双子の姉妹の、姉と結婚するつもりが間違って妹との婚姻届を出し、受理されました。 間違ったから、婚姻の取消しができますか。

いいえ。

この場合の婚姻は、人違いによって当事者に婚姻をする意思がないといえますから、無効です。

婚姻の取消しは、婚姻が有効であることが前提ですね。
婚姻したが、相手が気に入らない場合、離婚でなく、婚姻の取消しができますか。

たしかに、婚姻の取消しは、婚姻の有効を前提とします。

しかし、婚姻の取消しは、民法の定める取消事由がないと出来ません。
相手が気に入らない場合は、取消事由ではありません。

未成年者が婚姻をするには、父母の同意が必要とされていますが、
この同意がないのに婚姻届が誤って受理された場合は取消しができますか。

いいえ。

この場合、取消しはできません。完全に有効です。

婚姻の取消し原因を教えてください。

民法は、不適齢婚、重婚、近親婚、再婚禁止期間違反の婚姻、および詐欺又は強迫による婚姻を取消し原因としています。

婚姻の取消しは、誰でもできますか。

いいえ。

民法の規定する者だけが、家庭裁判所に、婚姻の取消し請求ができます。

婚姻の重大性からすれば、誰にでも取消しを認めた方が良いと思うのですが、なぜ取消権者を規定しているのですか。

婚姻した者を保護するとの理由からです。

婚姻の取消しが認められるのは、その婚姻が反社会性を有するなどの公益的理由及び、詐欺又は強迫によって婚姻した者を保護するとの理由からです。
 
婚姻した者が、あえて取消しを望まなければ、婚姻を継続しても良い場合もありますから、取消権者を限定しているのです。

反社会性を有するなどの公益的理由による取消し原因と、取消権者を教えてください。

不適齢婚、重婚、近親婚、再婚禁止期間違反の婚姻があります。

その場合の取消し原因は、不適齢婚、重婚、近親婚、再婚禁止期間違反の婚姻があります。

取消権者は、各当事者、その親族、検察官です。
重婚の場合は、当事者の配偶者もできます。
再婚禁止期間違反の婚姻は、当事者の前配偶者も取消し請求ができます。
検察官は、当事者の一方が死亡した後は、取消し請求ができません。

詐欺または強迫を理由とする 婚姻の取消しの取消権者には、親族および検察官もふくまれますか。

いいえ。

詐欺または強迫を受けた当事者だけが、取り消しを請求できるのであり、親族も検察官も取消権者ではありません。

婚姻の取消し時期の制限は、ございますか。あれば教えてください。

重婚と近親婚の場合は、婚姻が継続している限り取消しができます。

不適齢婚の場合は、不適齢者が適齢に達すれば、取消し請求ができません。
ただし、不適齢者自身は、適齢に達した後、なお3ヶ月間は追認をしない限り、その婚姻の取消しを請求することができます。
 
再婚禁止期間違反の婚姻は、前婚の解消または取消しの日から6ヶ月を経過するまで取消しができます。
ただし、6ヶ月経過前でも、その女性が再婚後に懐胎すれば、取消しができなくなります。
 
詐欺または強迫による婚姻は、当事者が詐欺を発見し、もしくは強迫を免れてから
3ヶ月は、取消し請求ができます。
ただし、3ヶ月経過前でも追認した場合は、取消しができません。

婚姻の取消しは、相手に対しての意思表示でよろしいでしょうか。

いいえ。

婚姻の取消しは、必ず、一定の者から家庭裁判所に対して請求しなければなりません。

取り消しの効果は、どうなりますか。
その効果は、身分関係・財産関係ともに 同じですか。

取消しの効果は、次のとおりです。

  1. 身分関係については、取消しの時から将来に向かってのみ生じます。
    したがって、その婚姻によって生まれた子は、婚姻の取消しによって非嫡出子とはなりません。嫡出子の身分を失わないのです。
     
  2. 婚姻の取消しは、財産関係については、最初にさかのぼります。
    つまり、婚姻によって財産を得た当事者は、その財産を返還しなければなりません。

婚姻の取消しによる財産の返還は、全ての財産ですか。

婚姻によって得た利益の全部です。

婚姻の時において、取消しの原因があることを知らなかった善意の当事者は、現に利益を受けている限度です。

しかし、婚姻の時において、取消しの原因があることを知っていた悪意の当事者は、婚姻によって得た利益の全部です。

婚姻の取消しで、離婚の規定が適用されのは、どういうのがありますか。

次の規定の準用が認められています。

婚姻の取消しと離婚は、類似するところがありますから、離婚に関する次の規定の準用が認められています。

  1. 離婚後の子の監護
    父母の協議で定める。協議ができない時は、家庭裁判所が定める。
     
  2. 離婚による復氏および婚氏続称
    婚姻前の氏に復する。ただし、届出で離婚の際の氏の続称が可能。
     
  3. 財産分与
    一方が他方に対する、財産分与請求。
     
  4. 祭祀に関する権利の承継
    系譜、祭具および墳墓の所有権の承継

婚姻の一般的効果としては、夫婦同氏の原則だけですか。

いいえ。

婚姻の一般的効果としては、通常次のものがあげられます。

  1. 同居・協力・扶助義務の発生
  2. 守操の義務
  3. 氏の共同
  4. 未成年者の成年擬制
  5. 夫婦間の契約取消権

同居・協力・扶助義務の発生とは、何ですか。

協力し扶助しなければならないということです。

夫婦は、結婚すれば、同居し、互いに協力し扶助しなければならないということです。

夫が、同居義務を履行しない場合、妻は、同居を強制させることができますか。

いいえ。

同居義務は、法的強制に親しまないものですから、強制的に同居させることはできません。同居しないなら、1日~円払え、という請求もできません。

それでは、夫が同居を拒む場合は、何の効力も発生しないのですか。

いいえ。

一方配偶者が、同居を正当な理由なく拒否した場合は、悪意の遺棄として離婚原因となります。

守操の義務は、法律で規定されていますか。

いいえ。

夫婦が、互いに貞操を守ることは当然ですから、法律での明文はありません。

守操の義務に違反した場合は、どうなりますか。

配偶者に不貞行為があったことになり、離婚原因となります。

配偶者の一方は、他方に対して債務不履行として損害賠償の請求ができます。
また、配偶者の不貞行為の相手方には、不法行為による損害賠償ができます。

氏の共同は、夫婦同氏の原則ということですか。

そうです。

婚姻関係が継続する限り、夫婦は同一の氏を称します。
事例を考えてみましょう。

例えば、山田家の養子・山田太郎と婚姻した川畑花子が山田花子となりました。
この場合に山田太郎が離縁して、海野太郎と氏を改めたときは、山田花子も海野花子と改氏することになります。

未成年者の成年擬制とは、何ですか。

未成年者が婚姻をしたときは、成年に達したものとみなされます。

婚姻した未成年者は、私法上の全ての関係で成年者と同じ能力を有することになります。

成年擬制の効果を教えてください。

婚姻した未成年者は、20歳前でも不動産の売買を単独でできます。

養親として、養子縁組もできます。
また、遺言の証人や立会人となることもできます。

成年擬制は、選挙権とか飲酒にもおよびますか。

公法上には及びません。

成年擬制は、私法上の関係のみです。公法上には及びません。
よって、未成年者が結婚しても選挙権を、与えられるものではありません。
また、喫煙や飲酒も許されません。

離婚した場合、成年擬制の効果は消滅しますか。

原則として、消滅しないと解されています。

つまり、離婚しても未成年者のように、制限行為能力者とはなりません。
しかし、不適齢者の離婚は、離婚の際に、まだ不適齢であれば、成年擬制の効果が失われると解されているようです。

夫婦間の契約取消権とは、何ですか。

いつでも、夫婦の一方から取消しができるということです。

夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方から取消しができるということです。婚姻中にかぎって、履行済みでも取り消せます。

婚姻中は、つねに取消しができるのですか。

いいえ。

形式上婚姻関係が継続していても、契約締結時に実質上婚姻関係が破綻していれば、夫婦間の契約は取消しができません。

婚姻中に、夫が夫名義で購入した財産は、妻との共有ですか。

いいえ。

婚姻中に、自己の名で得た財産は、その者が単独で有する財産です。

不動産を夫名義で購入した場合、妻の協力を認め、夫婦の共有ではないのですか。

夫の特有財産です。

夫の特有財産(夫が単独で有する財産)です。

妻の協力があったから購入できたのであり、不公平ではありませんか。

たしかに妻の、財産蓄積に対する寄与・協力に対する配慮に欠けます。

妻は、保護されないということですか。

いいえ。

実質上の不平等を是正するの、次のような各種規定があります。

  1. 離婚(又は婚姻の取消し)にあたっての財産分与
  2. 配偶者の相続分を、最低二分の一としている
  3. 寄与分の制度 

婚姻費用の分担とは、どういうことですか。

夫婦が、互いに分担するということです。

婚姻共同生活を維持するための費用については、夫婦が、互いに分担するということです。

婚姻費用とは、具体的にはどのようなものですか。

婚姻費用とは、夫婦共同生活のための一切の費用を指します。

具体例としては、次のようなものです。

  1. 衣食住の費用
  2. 医療費、娯楽費、交際費
  3. 未成熟の子の、養育費・教育費
  4. 老後の準備(預金や保険)
  5. 出産費用
  6. 子供の将来のための、学資保険料

夫婦が別居していても、妻は夫に、婚姻費用の請求ができますか。

原則として可能と解しています。

判例は、婚姻が継続している限り、原則として可能と解しています。

婚姻関係破綻の程度は、考慮されますか。

はい。

判例は、婚姻が破綻し、当事者間に円満な夫婦の協同関係への回復の期待と努力を欠く場合には、生活保持義務が軽減される、とするのが多いようです。

婚姻破綻についての責任は、配慮されますか。

はい。

破綻に至った責任が、どちらにあるかを考慮して、婚姻費用の分担額を決定する裁判例も多いようです。

具体的にご紹介ください。

はい。

判例では、次の通りです。

  1. 分担義務者に責任がある場合は、生活保持義務を免れません。
     
  2. 破綻について、双方に責任がある場合は、分担義務を軽減します。
     
  3. 分担請求者に責任がある場合は、
    a) 子供の養育費は別として、自身の生活費はみとめられない。あるいは、
    b) 最低生活を維持するに必要な程度に、分担義務が軽減される。

過去の婚姻費用の分担請求は認められますか。

はい。

判例は認めています。
問題は、いつまで遡ることができるかです。
生活保持義務は、婚姻共同体を前提としますから、別居時以降の分担を請求できると解する考えが、有力です。

離婚後も、過去の婚姻費用の分担請求が可能ですか。

はい。

判例は、財産分与の決定において、未払いの過去の婚姻費用の清算をふくめることができる、と解しています。

離婚の方法には、どういうのがありますか。

民法が定めるのは、協議離婚と裁判離婚です。

他に,家事審判法の定める、調停離婚と審判離婚があります。

協議離婚は、離婚の理由や動機が問題となりますか。

いいえ。

協議離婚は、夫婦間の協議で離婚をすることです。
したがって、離婚の理由や動機は問題になりません。

協議離婚の実質的要件は、何ですか。

協議離婚の実質的要件は、次の通りです。

第一に、 当事者間に離婚意思の合致があること
第二に、 未成年の子の親権者を決定すること、です。

離婚意思とはなんですか。
相手方が勝手に離婚届を出したなど、離婚意思がない場合、どうなりますか。

離婚意思がなければ、離婚は無効です。

離婚意思について、判例は、「離婚届をする意思」と、解しています。
離婚意思がなければ、離婚は無効です。

離婚意思を、そのように解した場合に有効とされた判例を、教えてください。 

判例の事例をご紹介いたします。

  1. 債権者の強制執行を免れるための、協議離婚は有効です。
     
  2. 氏変更のための、協議離婚は有効です。
     
  3. 生活保護の受給を継続するための方便として離婚の届出をし、その後、実質上夫婦としての生活が続いていても、協議離婚は有効です。

離婚意思は、離婚届出書作成時に存在すればよろしいか。

いいえ。

離婚意思は、離婚届出書作成時と届出時の双方で存在することが必要です。

したがって、離婚届出書作成後、届出前に離婚意思を翻意したが、相手方によって離婚の届出がなされた場合、その離婚は無効です。

成年被後見人が協議離婚をするには、成年後見人の同意が必要ですか。

いいえ。

成年被後見人も意思能力があれば、単独で離婚できます。
つまり、成年被後見人は、本心に復しているときは、成年後見人の同意を得ずに、
協議離婚をすることができます。

詐欺又は強迫によって離婚した者は、どうなりますか。

離婚の取消しができます。

詐欺又は強迫によって離婚をした者は、その離婚の取消しができます。
取消しは、詐欺を発見し、あるいは強迫を免れた後の3ヶ月以内に、家庭裁判所に請求することが必要です。

その場合、取消しの効力はどうなりますか。

遡ります。

取消しの効力は、遡ります。
すなわち、離婚がはじめからなかったものとして、婚姻が継続していたものとされます。

協議離婚の第二の要件である、未成年の子の親権者の決定とは何ですか。

協議で定めなければならないということです。

夫婦間に未成年の子供がある場合、協議離婚をする際に、夫婦のいずれが親権者になるかを、協議で定めなければならない、ということです。

協議ができないとか、調わないときは、どうなりますか。

協議に代わる審判をします。

家庭裁判所が、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をします。

親権者を定めずに、離婚届を出した場合はどうなりますか。

受理されません。

親権者の定めのない離婚届は、受理されません。

未成年の子の監護者も、離婚届の際の決定していることが必要ですか。

いいえ。

監護者は、離婚後でもかまいません。

親権、監護は、どのような意味ですか。

親権とは・・・

親権とは、未成年の子の身上監護(監護・教育・居所指定・懲戒・職業許可)および財産管理(財産管理権・代理権)など、子の利益保護に当たる権能です。
 
監護は、未成年の子の心身の成長のための教育および養育を中心とするものです。

親権者と監護者は、同一人でなくてもよいのですか。

はい。

たとえば、父が親権者で、子を引き取った母が監護者となる、協議も可能です。

親権者、監護者ともに、父母のどちらかがなるのですね。

いいえ。

親権者は、父母のどちらか一方であることが必要です。
しかし、監護者は第三者でもかまいません。

協議離婚は、当事者間の意思の合致および未成年の子の親権者の決定があれば、有効なのですか。

いいえ。

協議離婚は、役所への届け出が必要です。
届け出が無い限り、協議離婚は成立しません。

他の裁判離婚なども、届け出で成立するのですか。

いいえ。

裁判離婚は、離婚の判決が確定すれば、離婚は成立します。
その後の役所への届け出は、離婚の効力が生じたことを報告するものです。
調停離婚および審判離婚も、裁判離婚と同様に、届け出は報告的届出です。

裁判離婚は、どのような場合でもできますか。

いいえ。

民法に定められた、一定の原因がある場合に、限られます。
法の定める離婚原因がある場合に、離婚の訴えを提起できるのです。

法の定める離婚原因は、どのようなものがありますか。

具体的離婚原因と、抽象的離婚原因があります。

具体的離婚原因とは、どのようなものですか。

次のとおりです。

  1. 配偶者に、不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から、悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が、3年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が、強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

以上の、4項目です。

抽象的離婚原因とは、どのようなものですか。

婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき。

民法は、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき、と定めています。

離婚原因があれば、即、離婚の訴えを提起して裁判離婚ができるのですね。

いいえ。

裁判離婚は、実際はそれほど簡単には認められていません。

民法で認められている裁判離婚が、簡単でないのはなぜですか。

次の理由で多くはありません。

裁判離婚とは、判決離婚のことですが、次の理由で多くはありません。

  1. 法律は、調停前置主義を採っています。
    離婚の訴を提起しようとする者は、まず、調停の申立てが必要です。
    そして、多くは調停離婚で解決します。
     
  2. 調停離婚が成立しない場合、審判離婚があります。
    家庭裁判所が、職権で離婚について、審判できるのです。
     
  3. 訴訟になった場合でも、家庭裁判所は、離婚の請求を棄却できます。
    裁判所が、婚姻の継続を相当と認める場合に、棄却できるのです。

具体的離婚原因の、「配偶者の不貞行為」とは、なんですか。

不貞行為とは、いわゆる不倫です。

配偶者のある者が、配偶者以外の者と、性的関係(性交渉)を結ぶことです。
 
不貞は、1回限りの性交渉でも成立します。
しかし、訴訟に登場するケースでは、継続的な性関係にある場合が通常です。

具体的離婚原因の、「配偶者の悪意の遺棄」とは、なんですか。

次のような場合が該当します。

悪意の遺棄とは、次のような場合が該当します。

  1. 夫婦間の、同居・協力・扶助の義務に、違反する場合。
  2. 夫婦間の、婚姻費用分担義務に、違反する場合。

 
裁判になった具体例としては、次のようなのがあります。

  1. 同居違反は、不当な同居義務の不履行に限られます。
    仕事上や、病気療養など、正当事由のある別居は、該当しません。
  2. 妻が、2児を残し家出し、2年間の行方不明の場合は、該当します。
  3. 夫が、他女と同居し、妻子に生活費を渡さない場合は、該当します。
  4. 精神病の夫を残して、10年間実家に帰ったままの妻も、該当します。

具体的離婚原因の、「配偶者の3年以上の生死不明」とはどういう事ですか。

最後に生存を確認した時を、起点にします。

3年以上の生死不明とは、最後に生存を確認した時を、起点にします。
その時から、生死不明の状態が、3年以上継続している状態です。
 
所在不明でも、携帯電話で音信がある場合は、該当しません。
この場合は、生存が確認されているからです。

具体的離婚原因の、「配偶者の不治の精神病」を、説明してください。

次の要件に該当する場合をいいます。

「配偶者が、強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」の、事ですね。
次の要件に該当する場合をいいます。

  1. 夫婦間の、同居・協力・扶助義務に違反するほどの重症の精神病である事。
  2. その精神病が、不治の病である事。

精神科医師が、「不治の精神病か否か」を、判断するのですね。

いいえ。

最終的判断は、家庭裁判所の裁判官がいたします。
ただし、精神科医師の鑑定など、判断資料に基づく場合が多いでしょう。

「不治の精神病」について、もう少し教えてください。

判例をご紹介いたします。

  1. 精神病で、入退院を繰り返しているだけでは、判断できません。
    その都度、日常生活に支障がない程度に回復していれば、該当しません。
     
  2. 逆に、一時的に軽快することがあっても、該当する場合があります。
    夫婦間の、同居・協力・扶助義務を果たせない場合です。
     
  3. 精神病の程度は、必ずしも、心神喪失状態である必要はありません。
    心神耗弱状態でも、該当する場合があります。

    ※心神喪失とは、精神機能の障害で、事の善悪を識別できず、または、識別してもそれによって、行動できない状態のことです。心神耗弱とは、精神機能の障害で、事の善悪を識別し、また、それによって行動することの著しく困難な状態のことです。
     
  4. 婚姻以来、7年間絶えず妻の、「てんかん」に 悩まされ、その間4年入院による 夫婦の空白を生じ、将来に希望が持てない場合、不治の精神病です。
     
  5. 妻が、心神耗弱の状況にあり、家事をささえ、子供の監護養育をすることが無理 で、夫婦間の協力による家事分業を維持継続する能力に欠け、しかも、精神障害 が回復の見込みがないとき、不治の精神病に該当します。

離婚によって、婚姻の効力は消滅しますね。
それは、配偶者でなくなるから、身分上の効果が消滅することですね。

財産上の効果も消滅します。

身分上の効果のみではなく、財産上の効果も消滅します。

つまり、婚姻から生ずる一切の身分上・財産上の権利義務が、将来に向かい消滅するということですか。

そのとおりです。

配偶者の血族との姻族関係も終了しますか。

はい。終了します。

たとえば、ABの夫婦が離婚すると、AとBの父母との親族関係は、終了します。

そうすると、妻Aと、夫Bの父親とは、結婚できますね。

いいえ。

姻族関係に基づく、婚姻障害は残ります。
よって、結婚は、できません。

離婚によって、再婚も自由になるのですね。

はい。

ただし、女性の場合は、6か月間の再婚禁止期間がありますね。

離婚によっても、復氏しない方法があるそうですね。

婚姻によって氏を改めた夫または妻は、離婚によって婚姻前の氏に復します。

復氏した者は、離婚の日から3カ月以内に、戸籍法の定めるところにより届け
出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができます。

その場合、婚姻から、たとえば、1年以上などの期間が必要との期間制限がありますか。

いいえ。

婚姻の日から、離婚までの期間の制限はございません。

離婚の届出と同時に、この届出がなされた場合、いきなりその氏の新戸籍を、編成していますね。これは、復氏してないことですか。

いいえ。

この手続きは、手続きの簡易化のためです。
復氏することなく、離婚の際に称していた氏を称することはできません。

離婚の効果で大切なのは、財産分与ですね。
詳しく知りたいのですが。

別ページで解説しています。

財産分与については、私が別ページで解説しています。
それを、ごらんください。

「TOPICS・民事笑事件判例」のなかで、「夫婦間の契約取消し」を、紹介していますが、興味があるので、詳しく解説して下さい。

了解です。

TOPICS・民事笑事件判例  夫婦間の契約取消し は、クリックすれば、
当該ページに、移動します。

夫婦間の契約の取消権は、法律で規定されているのですね。

はい。

民法第754条で、次のように定めています。
「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」

夫婦間で締結された、契約全般にわたって、夫婦の一方が婚姻期間中、何ら理由なしに無制限に、契約を取り消すことを、認めているのですね。なぜ、このような規定が、定められたのですか。

立法趣旨として、あげられるのは、次の2点です。

第一は、婚姻中は、お互いに愛におぼれるとか、威圧されるとかして、自由意思に基づかないで、契約が締結されやすいことです。
 
第二は、夫婦間の契約を絶対的にして、裁判上、その履行を強制するなら、かえって家庭の平和を、損なうことになるからです。

夫婦間の契約取消権の、対象となるのは、どのような契約ですか。

婚姻中、夫婦間で締結されたすべての契約です。

契約の種類や内容には、制限がありません。

取消権の行使は、いつ、どのようにするのですか。

いつでも、行うことができます。

婚姻中であれば、いつでも、相手方配偶者に対する意思表示により、行うことができます。
婚姻解消後には、取消権は認められません。
契約の履行後も、取消権の行使ができます。

契約が取り消されると、どうなりますか。

当初に遡って、無効となります。

そのため、第三者に不測の損害を及ぼすおそれがあるので、取消し前に利害関係を生じた第三者は、保護されます(第754条但書)。

夫婦関係が、破綻している場合も、無条件に取消しができるのですか。

いいえ。

夫婦関係が、破綻状態にある時に行われた、夫婦間の贈与についてですが、判例は、取消しを否定しました(最高裁判所判例昭和33年3月6日)。

取消しができる「婚姻中」とは、形式的にも実質的にも、婚姻が継続していることと、解釈してよろしいか。

そのとおりです。

形式的に夫婦であっても、婚姻が実質的に破綻していれば、第754条の適用はなく、取消しはできません。

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2024年4月1日より、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年、また遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。義務に違反すると10万円以下の過料の対象となります。できるだけ早めに手続きをするのが推奨されます。

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