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離婚について、「不倫離婚」を解説しています。

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総説

  1. 配偶者に、不倫行為があった場合、裁判上の離婚原因となります。
     
  2. 民法第770条第1項は、次のように規定しています。
    「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
    1 配偶者に不貞な行為があったとき。
    (以下、省略) 」
     
  3. もっとも、前記の訴えを提起する場合は、まず家庭裁判所に、調停の申立てを、しなければなりません。
    これを、調停前置主義といいます。

不貞行為の意義

  1. 民法第770条第1項1号の、「不貞な行為」とは、姦通であり、近時は一般に「不倫」
    と、いわれています。

     

  2. すなわち、
    (1) 配偶者のある者が
    (2) 自由な意思に基づいて
    (3) 配偶者以外の者と
    (4) 性的関係(性交渉)を、結ぶことです。

不貞行為となる具体例

  1. 夫が、知人と共謀して、婦女3名を強姦した事件で、このように姦淫の相手方が、自由な意思を有していなくても、「不貞行為」となります
    (最高裁判所判例昭和48年11月15日)。
     
  2. 夫からの援助を断たれたため、自己と子の生活費を得るために、街頭に立って、これを補い、父親不明の子を生んだ場合は、「不貞行為」といわざるをえません、との判例もあります(最高裁判所判例昭和38年6月4日)。
     
  3. 姦通が証明できない場合でも、理由なく異性と同室して、夜を過ごす場合は、一般的に「不貞行為」と、推定すべきであると、解されています。
     
  4. 売春婦を相手にした夫の姦淫も、売春をした妻の姦淫も、不貞に該当します
    (最高裁判所判例昭和38年6月4日)。

不貞行為とならない場合

  1. 一見、「不貞行為」となりそうな場合でも、否定されれば、民法第770条第1項5号の、
    事由となる例が、多いようです。
     
  2. 民法第770条第1項5号は、次のように、規定しています。
    「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
    5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」
     
  3. 同性愛行為は、不貞とはいえず、民法第770条第1項5号の事由と、なり得るにとどまります(名古屋地方裁判所判例昭和47年2月29日)。
     
  4. 夫の同意のない、非配偶者間人工授精も、不貞とまではいえず、民法第770条第1項5号の事由に該当すると、いうのが一般的な考えです。

不貞行為に該当する回数

  1. 不貞は、1回限りの性交渉でも、成立します。
     
  2. しかし、訴訟に登場するケースでは、継続的な性関係にある場合が、通常です。
     
  3. なお、ごく初期の判例に、このようなのが、あります。
    約2ヶ月、女性関係のあった夫の行為について、期間も短く、一時の気の迷いとも考えられるとして、不貞を認めませんでした(名古屋地方裁判所判例昭和26年6月27日)。

民法第770条2項との関係

  1. 民法第770条は、1項で、裁判上の離婚の場合の離婚原因を規定し、第2項で、裁判所の職権による、離婚請求棄却事由を定めています。
     
  2. 民法第770条第2項は、次のとおりです。
    「裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。」
     
  3. 不貞行為を、離婚原因として、主張する場合には、本条項の適用があります。
     
  4. したがって、不貞行為があっても、婚姻が、なお破綻するに至らず、回復の可能性がある場合には、裁判所の裁量により、離婚請求を棄却することができます。
     
  5. しかし、具体的離婚原因として、不貞行為を例示している以上、2項の適用は、慎重を要すると、いわれています。

不貞行為と民法第770条2項の具体例

  1. 妻の不貞行為が、婚姻を破綻に導いた事実を認めながら、2項で夫の離婚請求を棄却するには、それを肯定するに足りる、特段の事情の存在を、審理判断すべきです
    (最高裁判所判例昭和38年6月4日)。
     
  2. 夫の不貞行為による離婚請求の場合、妻が卵巣切除等の手術の結果、受胎不能となったことは、2項を適用する事由には該当しません(長野地方裁判所判例昭和38年7月5日)。
     
  3. 不貞行為の宥恕は、2項適用の一資料となるが、離婚請求権を消滅させるものではありません(東京高等裁判所判例昭和34年7月7日)。
     
  4. 妻の不貞行為を一旦宥恕し、夫婦関係は、回復しました。しかし、夫は、なおも不貞を疑い、妻を責め続けます。そのため、妻は、性関係を拒否して、子を連れ家出をしたため、もはや夫婦関係は、破綻して、回復の見込みがありません。

    このような場合、信義誠実の原則に照らしても、妻の、離婚請求は許されます
    (東京高等裁判所判例平成4年12月24日)。
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2024年4月1日より、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年、また遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。義務に違反すると10万円以下の過料の対象となります。できるだけ早めに手続きをするのが推奨されます。

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