越谷の司法書士・行政書士事務所「美馬克康司法書士・行政書士事務所」

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相続・遺産整理

越谷 司法書士によるオリジナル解説

司法書士・行政書士による相続のオリジナル解説です。
相続・遺産整理についての相続分を解説しています。

相続・遺産整理についてお困りでしたら、越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所へご相談ください。

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遺産整理・相続分

  1. 相続分は、共同相続に際して、各共同相続人が、相続財産を承継すべき割合、
    すなわち、各共同相続人が、
    取得し得べき相続財産の総額に対する分数的割合
    です。
    遺産整理は、相続分に応じて、なされることになります。
     
  2. この相続分は、まず、被相続人またはその委託を受けた第三者の指定によって
    決定されます(民法第902条)。これを、指定相続分と呼びます。
    次に、指定がない場合には、民法第900条の定めるところに従って、
    決定され
    ます。これを、法定相続分と呼びます。
     
  3. 法定相続分は、共同相続する相続人の種類によって異なります。

子と配偶者が相続人である場合

  1. 子の相続分は2分の1、配偶者の相続分は2分の1です。
    子が数人ある場合には、全員で2分の1を取得し、各人の間で均分します。

     
  2. 子については、男女の別・実子と養子の別・国籍の有無を問いません。
    なお、平成25年の改正前には、「嫡出でない子の相続分は、
    嫡出である子の相続分の2分の1」と、
    定められていました(第900条4号ただし書)が、改正され、
    嫡出でない子の相続分と嫡出子の相続分は、相等しくなりました。

     
  3. 改正の契機となったのは、次の最高裁判所の判断です。
    「本件相続開始時においては、立法府の裁量権を考慮しても、
    嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的根拠は、
    失われていたというべきであり、嫡出でない子の相続分を、
    嫡出子の相続分の2分の1とする部分は、
    遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたものというべきである。」(最高裁判所大法廷決定平成25年)

     
  4. 具体例で検討しましょう。

    被相続人甲には、妻Aと子B・Cがおり、相続財産は 3600万円です。
    各自の相続分と、相続取得額は、次のとおりです。


    ① 妻Aの、相続分 2分の1
    相続取得額 3600万円×1/2=1800万円

    ② 子B、Cの、各相続分 1/2×1/2=1/4
    ​各相続取得額 3600万円×1/4=900万円

     
  5. もう1つ具体例を挙げます。
    被相続人甲には、妻A、甲とAとの間の嫡出子B・Cがいます。

    また、被相続人甲には、不倫相手であった乙女との間に、
    嫡出でない子Dがおります。相続財産は、3600万円です。


    各自の相続分と、相続取得額は、次のとおりです。

    ① 妻Aの、相続分 2分の1
    相続取得額 3600万円×1/2=1800万円

    ② 嫡出子と嫡出でない子は、相等しい相続分となります。
    嫡出子BおよびC、嫡出でない子Dの、各相続分 1/2×1/3=1/6
    各相続取得額 3600万円×1/6=600万円

直系尊属と配偶者が相続人である場合

  1. 直系尊属の相続分は3分の1、配偶者の相続分は3分の2です。
    直系尊属が数人存在するときは、数人の相続分は、
    この3分の1を均分したものとなります。

     
  2. 父母が相続人となる場合、実父母養父母の区別はなく、
    また父方母方の区別もなく、相続分は平等です。

     
  3. 祖父母は、父母がいない場合に相続人となります。
    この場合も、父方の祖父母と母方の祖父母の区別は、ありません。

     
  4. 具体例をご紹介いたします。
    被相続人甲の相続人は、妻A、甲の父母B・Cであり、
    相続財産は 3600万円です。

    各自の相続分と、相続取得額は、次のとおりです。

    ① 妻Aの、相続分 3分の2
    相続取得額 3600万円×2/3=2400万円

    ② 父母B、Cの、各相続分 1/3×1/2=1/6
    各相続取得額 3600万円×1/6=600万円

     
  5. 具体例を、もう一つご紹介いたします。
    被相続人甲の相続人は、妻A、甲の養父母B・C、甲の実母Dであり、
    相続財産は 3600万円です。
    各自の相続分と、相続取得額は、次のとおりです。

    ① 妻Aの、相続分 2/3
    相続取得額 3600万円×2/3=2400万円

    ② 養父母BおよびC、実母Dの、各相続分 1/3×1/3=1/9
    各相続取得額 3600万円×1/9=400万円

兄弟姉妹と配偶者が相続人である場合

  1. 兄弟姉妹の相続分は1/4、配偶者の相続分は3/4です。
    兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は1/4を均分したものです。
     
  2. なお、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、
    父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の相続分の、2分の1です。

     
  3. ここでいう父母には、実父母のみならず養父母を含みます。
    したがって、実父母あるいは養父母の、いずれかを同じくすれば、
    全血の兄弟姉妹となります。
    一方の実父母が、他方の養父母である場合も同様です。

     
  4. 具体例で、検討しましょう。
    被相続人甲の相続人には、妻A、全血である兄弟姉妹B・Cがいます。
    相続財産は 3600万円です。
    各自の相続分と、相続取得額は、次のとおりです。

    ① 妻Aの、相続分 3/4
    相続取得額 3600万円×3/4=2700万円

    ② 全血兄弟姉妹のBおよびCの、各相続分 1/4×1/2=1/8
    各相続取得額 3600万円×1/8=450万円

     
  5. もう一つ具体例を、ご紹介いたします。

    被相続人甲の相続人には、妻A、全血兄弟姉妹B、半血兄弟姉妹Cがいます。
    相続財産は 3600万円です。
    各自の相続分と、相続取得額は、次のとおりです。

    ① 妻Aの、相続分 3/4
    相続取得額 3600万円×3/4=2700万円

    ② 全血兄弟姉妹Bの、相続分 1/4×2/3=1/6
    相続取得額 3600万円×1/6=600万円

    ③ 半血兄弟姉妹Cの、相続分 1/4×1/3=1/12
    相続取得額 3600万円×1/12=300万円

相続に関してのその他の問題

  1. 被相続人に、配偶者がなく、子、直系尊属又は兄弟姉妹だけが相続人である場合
    ① 子、直系尊属、兄弟姉妹の、それぞれのグループが、相続財産全体について、
    各自の相続分は、相等しいものとして、均分します。

    ② ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、
    父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の、2分の1です。


     
  2. 配偶者だけが、相続人である場合
    ① 配偶者だけが、相続財産全部を、単独相続します。

    ② 被相続人に、伯叔父母、従兄弟姉妹がいても、
    これらの者は、相続人とはなりません。

     
  3. 身分関係が重複する場合の相続分
    ①実親が、嫡出でない子を養子としたり、
    あるいは祖父が孫を養子にする場合には、
    親子間または、祖父と孫間という血縁関係があるうえに、
    養親子という法定血族関係が、重複して発生します。


    また、配偶者の一方が、他方の父母の養子となった場合には、
    兄弟姉妹という血縁関係の他に、配偶者という身分関係が、重畳的に存在します。


    このような場合に、相続が開始すれば、2個の身分を併有する相続人は、
    二つの地位に基づく相続分を加算したものを取得できるか、との問題があります。


    後記の「重複相続」をご覧ください。
     
  4. 法定相続分と相続債務法定相続分は、積極財産の取得割合となるのみならず、
    消極財産すなわち共同相続人が、承継すべき相続債務の承継割合も、定めるものです。

     
  5. 法定相続分と登記
    ①事例でご紹介いたします。
    亡Aの共同相続人は、甲・乙の二人です。
    甲が、亡Aの遺産である不動産を、勝手に甲の単独所有名義の登記をしたうえ、
    その不動産を、第三者丙に売却し、丙への所有権移転登記をしました。
    この場合、他の共同相続人乙は、登記がなくても
    自己の相続した持分2分の1を、丙に主張できるでしょうか。

    ②判例(最高裁判所昭和38年)は、登記不要説に立つことを明言しました。
    理由は、次のとおりです。

    「甲の登記は、乙の持分に関する限り、無権利の登記です。
    登記の公信力がないため、丙も乙の持分に関する限り、その権利を取得することができないからです。」
     通説も、判例と同様に登記不要説に立ちます

相続に関してのその他の問題

  1. 代襲相続は、相続人たるべき子、または兄弟姉妹が、相続開始前に死亡したり、
    相続権を失った場合に、その者の子または直系卑属によって、行われます。
     
  2. 兄弟姉妹の代襲相続人は、「直系卑属」ではありません(昭和55年改正)。
    兄弟姉妹の「子」、すなわち、被相続人のおい・めいです。

子の代襲相続人の相続分

  1. 子の代襲相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属に当たる被代襲者が
    受けるべきであった相続分と、同じです。
     
  2. 代襲相続は、被代襲者の死亡・相続欠格・廃除による相続権喪失によって、
    の直系卑属が、不利益を受けないようにするための制度です。
    よって、代襲相
    続人の相続分は、
    被代襲者の受けるべき相続分と同じであるべきだ、とされた
    のです。
     
  3. 代襲相続人が一人である場合には、その者は、被代襲者の相続分を
    そのままに
    承継します。代襲相続人が数人あるときは、その各自の相続分は、被代襲者が受けるべきはずであった部分について、法定相続分を相続します。
     
  4. 具体例で、ご紹介いたします。

    被相続人甲の相続人には、妻Aと、子B・C・Dがあり、
    Dは、甲より先に死亡
    しています。Dには、妻乙との間に子E・Fが、います。
    相続財産は 3600万円です。

    各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。
    ① 妻Aの、相続分 1/2
    相続取得額 3600万円×1/2=1800万円

    ② B、Cの、各相続分 1/2×1/3=1/6
    各相続取得額 3600万円×1/6=600万円

    ③ E、Fの、各相続分 1/2×1/3×1/2=1/12
    各相続取得額 3600万円×1/12=300万円
     
  5. もう一つ具体例を、ご紹介いたします。
    被相続人甲の相続人には、妻A、子B・C・Dがあり、
    Dは、甲より先に死亡し
    ています。Dには、妻乙との間に、子E・F、丙女との間に、子Gが、います。
    相続財産は 3600万円です。

    各自の相続分と相続取得額は、次のとおりです。
    ① 妻Aの、相続分 1/2
    相続取得額 3600万円×1/2=1800万円

    ② B、Cの、各相続分 1/2×1/3=1/6
    各相続取得額 3600万円×1/6=600万円

    ③ E、F、Gの、各相続分 1/2×1/3×1/3=1/18
    各相続取得額 3600万円×1/18=200万円

子の代襲相続人の相続分

  1. 兄弟姉妹の代襲相続人となる子の相続分は、その子が代襲相続人となる直系尊属の相続分の定め方に応じて、定められます。
     
  2. 具体例を、ご紹介いたします。
    被相続人甲には、妻Aがいるが、Aとの間には子はいません。
    父母も死亡してい
    るので、妻Aの他には、相続人としては兄弟姉妹B・C・Dがいます。
    しかし、B
    とCは、甲に先立って死亡しました。Bには、嫡出子E・F、嫡出でない子Gがいます。また、Cには、嫡出でない子Hが、います。

    各自の相続分と、相続取得額は、次のとおりです。
    ① 妻Aの、相続分 3/4 
    相続取得額 3600万円×3/4=2700万円

    ② Dの、相続分 1/4×1/3=1/12
    相続取得額 3600万円×1/12=300万円

    ③ E、Fの、各相続分 1/4×1/3×2/5=1/30
    各相続取得額 3600万円×1/30=120万円

    ④ Gの、相続分 1/4×1/3×1/5=1/60
    相続取得額 3600万円×1/60=60万円

    ⑤ Hの、相続分 1/4×1/3=1/12
    相続取得額 3600万円×1/12=300万円
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2024年4月1日より、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年、また遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。義務に違反すると10万円以下の過料の対象となります。できるだけ早めに手続きをするのが推奨されます。

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