越谷の司法書士・行政書士事務所「美馬克康司法書士・行政書士事務所」
司法書士・行政書士による相続のオリジナル解説です。
不動産登記・抵当権抹消の「不動産登記判例」を解説しています。
不動産(土地・建物)が、相続・贈与・財産分与・売買などで、所有権が移転した場合は、所有権移転登記が必要です。いわゆる不動産登記名義変更です。
不動産登記・抵当権抹消のご相談は、越谷の美馬克康司法書士・行政書士事務所へご相談ください。
相続人調査・古い戸籍謄本の取得、亡くなられた方の銀行手続き(残高証明・相続人への移行)、自動車相続手続きなど、お任せください。生前贈与のご相談もどうぞ。
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不動産に関する物権変動の、対抗要件についての判例です。
土地建物(不動産)名義変更登記は、早めになされることを、お勧めします。
法律行為
Xは、Yに土地を売却、移転登記をしました。
しかし、Yが残代金を支払わないので、売買契約を解除しました。
ところが、Yは、登記がY名義で残っていることから、Zに当該土地を売却しました。
そして、移転登記を完了しました。
この場合、Zが、X・Y間の事情を知って買い受けたとしたも、Zが土地を取得します。
Xは、Yに損害賠償ができるだけであり、Zに土地の返還請求はできません。
(最高裁判所判決昭和35年11月29日)
相続.
Aは、不動産を甲に売却しましたが、移転登記をしないうちに死亡しました。
Aの単独相続人Bは、当該不動産をB名義に相続登記をしてから、乙に売却しました。
この場合、乙が登記をすれば、乙が不動産を取得します。
甲は、乙に不動産の引渡請求ができません。
(大審院判決大正15年2月1日)
取得時効.
Xは、Yの所有地を、取得時効により取得しました。
しかし、時効完成後にYは、当該地をZに売却し、移転登記をしました。
Zは、Xが時効取得をしたことを知っていたとしても、所有権を取得します。
よって、ZはXにたいし 土地の引渡請求ができます。
(最高裁判所判決昭和33年8月28日)
客観的要件
不動産の所有権が、甲・乙・丙・丁と移転しましたが、登記名義は、甲のままです。
この場合、甲は、丁の前所有者ですから、丁の登記がないことに異議を唱えることは
できません。
すなわち、丁は登記がなくても、甲に対して、自分が所有者であることを主張できます。
(最高裁判所判決昭和39年2月13日)
主観的要件(背信的悪意者)
甲が、乙から山林を購入し23年間占有していましたが、登記は前所有者・乙名義の
ままでした。
丙は、甲の未登記を知って、甲に高値で売りつけ利益を得る目的で、山林を乙から買い
受け、乙から丙へ移転登記を経ました。
この場合、丙は、いわゆる背信的悪意者ですから、甲は、登記がなくても、丙に対して
自己の所有権を主張することができます。
(最高裁判所判決昭和43年8月2日)
登記簿の記載
Aの土地に、1番抵当権を設定した甲の登記が、登記官吏の過誤により不当抹消されました。
その後、乙がA地を無担保と信じ、抵当権を設定し登記をしました。
甲は、乙に対して、自分が先順位の抵当権者であることを主張できます。
(大審院判決大正12年7月7日)
手続きの瑕疵
登記申請の際に添付された、印鑑証明書の日付が変造された場合には、登記申請には瑕疵があります。
しかし、登記申請が申請人の意思に基づくものに変わりはありません。
よって、その瑕疵は比較的軽微な方式に違反する場合として、なされた登記の効力を妨
げないものといえます。
(最高裁判所判決昭和34年7月14日)
実態関係の不存在(登記の流用)
甲は、自己所有の建物が滅失後、跡地に旧建物と全く同様の建物を新築しました。
そして、旧建物の既存の登記を、新建物の保存登記に流用しました。
しかし、この登記の流用は許されません。
流用された登記は、新建物の登記としては無効です。
(最高裁判所判決昭和40年5月4日)
所有権喪失者からの請求
甲は、乙から不動産を購入し、所有権移転登記をしないうちに、丙にその不動産を転売
しました。
甲は、転売で所有権を喪失しますが、乙に対しての登記請求権を失いません。
(大審院判決大正5年4月1日)
未登記建物の譲受人
甲は、乙から未登記建物を購入しました。
建物が未登記でも、甲は乙に、所有権移転登記の請求ができます。
よって、乙は、建物に自己名義の保存登記をして、甲に移転登記をしなければなりません。
(最高裁判所判決昭和31年6月5日)
明認方法
甲は、乙から立木を購入し、明認方法を施しました。
その明認方法が消滅後、丙が乙から、その立木を買い受け明認方法を施しました。
丙は、甲に優先して、立木の所有権を取得します。
(最高裁判所判決昭和36年5月4日)
物権的請求権の相手方
Aは、甲の土地に、無断で家屋を建て、自己名義に保存登記をしました。
その後、乙に家屋を売却し、移転登記をしています。
乙は、丙に家屋を売却しましたが、登記は乙名義のままです。
現状を知った甲は、乙に対し、建物収去・土地明渡しを請求しました。
乙は、建物を丙に売却したから、自分は関係ないと反論しました。
最高裁判所は、「たとえ他に建物を譲渡していたとしても、引き続き登記を有する限り、
建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない。」と、甲の主張を認めました。
(最高裁判所判決平成6年2月8日)
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2024年4月1日より、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年、また遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をしなければなりません。義務に違反すると10万円以下の過料の対象となります。できるだけ早めに手続きをするのが推奨されます。
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