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1.相続人の廃除は、被相続人の意思によって、推定相続人の相続資格を奪う制度です。相続欠格が、被相続人の意思とは無関係に、一定の行為があれば当然に相続資格を失うのと、異なります。
2.ただし、被相続人の意思によって相続資格を剥奪するとはいえ、その意思にはある程度の合理性を要するという立場から、その意思だけでは足りず、家庭裁判所の審判を要します。
3.廃除の対象となり得るのは、遺留分を有する推定相続人です。兄弟姉妹を除く相続人は、遺留分権利者ですから、廃除の時点で、配偶者・子・尊属(親、祖父母)が相続人である場合において、それらの一部または全部から、相続資格を奪いたいと考えるときには、相続人廃除の手続きを、とらなければなりません。
4.廃除しておかないと、例えば上記3の相続人がいる場合に、被相続人が全財産を第三者に遺贈しても、その相続人は遺留分を主張することができます。そして、被相続人が財産を承継させたくないと考えている相続人も、財産を取得することになります。
5.同様の結果は、被相続人が推定相続人の相続分をゼロと指定した場合にも生じます。
6.それゆえ、推定相続人が遺留分を放棄しているときには、この者を廃除する必要はありません。
7.これに反し、推定相続人が兄弟姉妹であるときには、被相続人は全財産を第三者に遺贈しても、兄弟姉妹は遺留分を有しませんから、何ら財産を承継しません。すなわち、遺贈された全財産は、第三者が取得します。
8.なお、相続人の配偶者(例えば、父親が死亡した場合に、相続人である長男の嫁)に廃除事由があっても、そもそも相続人ではありませんから、廃除は問題となりません。
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美馬 克康(みま かつやす)
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