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1.相続人が、被相続人または先順位もしくは同順位相続人に対する殺人行為によって、刑に処された場合に、相続欠格になります。既遂と未遂を問いませんが、故意行為であることが必要です。したがって、過失致死は欠格事由とはなりません。
2.判例には、殺人行為に該当しても、違法性ないし責任性がないときには、欠格事由に該当しないとするものがあります。刑事責任を前提とする規定上、刑法の責任追及をすることができない以上、そのように解されています。
3.また、刑に執行猶予が付され、猶予期間を無事に終了したときも、欠格とはならないと解するのが多数の考えです。もっとも、このように解するときは、猶予期間の満了を待たなければ相続人が確定せず、不安定な法律関係が継続することになります。
4.被相続人の殺害を知りながら告発、告訴しないことも相続欠格になります。告発とは、資格を問わず、被相続人の死亡が犯罪によるものと考える者が、犯罪事実を口頭または書面で、検察官または司法警察員に申し出ることをいいます。
5.告訴とは、被害者である被相続人の配偶者、直系親族および兄弟姉妹の関係にある者が、犯罪事実を口頭または書面で、検察官または司法警察員に申し出ることをいいます。
6.もっとも、相続人に是非の弁別がないとき、殺害者が自己の配偶者または直系血族であるときは、告訴・告発をしなくても相続欠格に該当しません。告訴・告発を期待することができないからです。
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美馬 克康(みま かつやす)
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