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遺言書の内容は、死者の最後の意思表示として、尊重されるのが原則です。
しかし、相続人の意思で、その遺言内容が実現しないこともあります。
このような場合にそなえて、遺言執行者を指定しておくとよいでしょう。
遺言者は、遺言で、1人又は数人の遺言執行者を、指定することができます。また、遺言執行者の指定を、第三者に委託することも出来ます。
遺言執行者の指定を受けた者は、就職を承諾するかどうかは自由です。
ただし、遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務をおこなわなければなりません。
遺言者の指定による遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、選任できます。
遺言執行者は、原則として無報酬です。
しかし、遺言者がその遺言で報酬を定めていれば、報酬が与えられます。
また、遺言に報酬の定めがなくても、家庭裁判所が、事情によって報酬を定めることができます。
遺言の執行に関する費用は、相続財産から支払われます。ただし、これらの費用によって、遺留分を減ずることはできません。
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遺言書には何を書くか、遺言書の内容については、次のようにいえます。
遺言書には、原則として何でも書くことができます。しかし、民法で、遺言としての効力を認めているのは、限定されています。
たとえば、「母の老後の面倒を、子供全員でみてほしい。」と、書いても法律的には意味
がありませんので、子供の一人が面倒を見なくても、道義上の問題が残るだけです。民法が認めた遺言事項、すなわちその内容が遺言として、法律的に効力があると認められるのは、次の事項です。
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遺言者は、いつでも、何ら特別の理由が無くても自由に、遺言の全部または一部を、撤回できます。
適法に成立した遺言の、効力が生じていない間に、取消原因がなくても、いつでも自由に、その効力の発生を、排除することができるのです。
たとえば、一般的方法で「認知」をしても、撤回をすることはできません。しかし、遺言による認知は、遺言者が遺言の方式に従って撤回することができます。
遺言による認知は、遺言者が死亡して、遺言の発効と同時に認知は効力をもつからです。
この権利を保護するため、遺言の撤回権を、放棄することはできません。遺言者が、「遺言を撤回しない」約束をしても、自由に遺言の撤回ができます。
たとえば、遺言者が、前の遺言で自分の唯一の土地をAに遺贈し、その遺言書の中で、この遺言は撤回しない。私の最後の遺言である。」と明記しました。
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遺言がなされた後に、遺言の撤回とみなされる場合があります。
遺言書の抵触、遺言内容と抵触する行為、遺言書の破棄などが考えられます。
前の遺言と、後の遺言が抵触するとき(内容が両立不可能な場合)です。その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
抵触した部分だけが、撤回したものとみなされます。前の遺言のうち、抵触しない部分は、効力を失うことはありません。
遺言者が、故意に遺贈の目的物を破棄したとき、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされます。
たとえば、甲が、A建物を乙に遺贈するとの遺言をしました。
その後、甲が、A建物を取り壊したときは、遺言の撤回とみなされます。
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遺贈とは、遺言による財産の無償贈与です。
遺贈には、二種類があります。特定遺贈と包括遺贈です。
特定遺贈とは、遺言による、遺産中の特定財産の譲与です。特定遺贈を受けた者を、特定受遺者といいます。
包括遺贈とは、遺言による、遺産の全部または何分の何との割合による譲与です。包括遺贈を受けた者を、包括受遺者といいます。
遺贈は、遺言者の死亡時に、当然に効力が生じます。死亡について、受遺者が知る知らないにかかわりません。
しかし、遺贈による受益を、受遺者の意思と無関係に強制することはできません。
そこで、民法は、次のような遺贈の放棄を定めています。
民法第986条第1項の規定です。
「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。」
受遺者は、遺言者死亡後いつでも遺贈の放棄ができます。相続放棄のように、期間制限はありません。
遺贈の放棄をすれば、その効果は遺言者の死亡時に遡及します。
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負担付遺贈とは、受遺者に一定の法律上の義務を、負担させる遺贈です。
たとえば、遺言者Aが、「自分の土地をBに与える。その代わりに、BはCに300万円
を、与えなければならない」と、いう場合の遺言です。この場合、受遺者Bから、300万円をもらうCを、受益者といいます。
受益者は、第三者であるのはもとより、相続人でもかまいません。
負担付遺贈の負担は、受遺者の受ける経済的利益の一部を、受益者に給付すると、いうものが多いようですが、勿論それに限りません。
遺言執行者になること、というものでも、かまいません。
第三者の看護・世話をすること、というのでも、負担とすることができます。
受遺者が、負担を嫌い、負担付遺贈を放棄する場合が、ままあります。
この場合、受益者が、自ら受遺者となることができます。
ただし、遺言者が、その遺言に別段の意思を表示している場合は、遺言者の意思が、尊重されます。
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美馬 克康(みま かつやす)
越谷法務局の登記相談員を拝命し、1,000件を超える登記の相談に対応してきました。身近な街の法律家として、困ったことがあれば真っ先にご相談いただけるような存在を目指しています。
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