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民法雑記帳

民法雑記帳・総説 
  1. 民法全1044条は、私法として、私達に深くかかわりあうものですが、やはり難解です。
    その難解な法文に、どのような具体例で、どのように判決が出たか、解説いたします。
     

  2. 雑記帳の名のとおり、気ままに書かせていただきます。

結納金返還請求

具体的事例

  1. A男とB女が婚約し、A男側からB女側に、結納金が交付されました。
    A男とB女は、婚姻にむけて、デートを重ねました。
     
  2. A男は、馬のような顔の長さで、これまで恋人どころか女友達もいません。逆に、B女は、美人で明るく誰からも好かれるタイプで、男友達もたくさんいます。
     
  3. A男は、初めての異性との交際で、しかも相手が美人ですから、大喜びです。しかし、元来口下手で、思うこともほとんど言えません。
     
  4. 3度目のデートが終わって、その夜B女の父親から、仲人に「婚約を解消したい」と、申し入れがありました。
     
  5. 婚約解消の理由は、「A男の父親が教員、A男も公務員ということで信頼していたが、A男は全くふがいない男だ。B女が話しかけても、どもりながら返事をするだけで、自分から話しかけることはない。こんなたよりない男は、娘の婿にはお断りだ」とのことです。
     
  6. これを聞いてA男は、大きな打撃をうけました。しかし、やむなく婚約を、合意解除しました。友人・職場・近所に、「結婚する」と、言いふらしているものですから、大恥です。
     
  7. A男側は、「A男が、相手を嫌って破談にした」ことにしました。しかし、仲人がおしゃべりで、事実を言いふらしました。ショックでA男は、1か月ほど病気を理由に、職場を休みました。
     
  8. A男の父親は、B女の父親に、「結納金を返せ」と、迫りました。しかし、B女の父親は、「一度もらったものは、返せない」と、反論しました。そこで、A男の父親が、訴えました。

判旨 

  1. 結納は、後日に婚姻の成立すべきことを予想して授受する贈与です。
     
  2. 婚約が、合意解除されたなら、受贈者は返還すべきです。婚姻が成立していないのに、B女側は受贈することはできません。
     
  3. 民法第703条は、不当利得の返還義務を定めています。「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の損する限度において、これを返還する義務を負う」
     
  4. 本件は、まさにこれに該当します。
     
  5. B女の父親は、A男の父親に、受領した結納金を返還しなさい。 
次の事項、ご説明しています。クリックしてごらんください。 

内縁不当破棄の損害賠償

民法雑記帳・総説 
  1. 民法全1044条は、私法として、私達に深くかかわりあうものですが、やはり難解です。
    その難解な法文に、どのような具体例で、どのように判決が出たか、解説いたします。
     

  2. 雑記帳の名のとおり、気ままに書かせていただきます。 

具体的事例
  1. X女とY男は、相思相愛のもとに結ばれました。
    婚姻届は出していませんが、X女はY家に同居しました。
     
  2. Y家は、Y男の両親と、Y男、妹3人の6人家族です。
    そこへ、X女が住みついたのです。
     
  3. Y男と父親は、X女に優しく接してくれます。
    しかし、母親と妹3人は、X女につらくあたり、いじめます。
     
  4. 3か月後、X女は病気になりました。
    いじめが原因で、精神的・肉体的にダウンしたのです。
     
  5. X女は、Y家では治療ができないので、実家に帰りました。
    病気療養を始めて2か月後、Y男からX女の荷物の引き取りを求める内容証明郵便が、
    X女に送達されました。
     
  6. 愛していたY男からの手紙に、X女は、病気が悪化しました。
    Y男は、母親に、「あのX女は、お前の嫁として認めない。この家には絶対入れない。
    お前の嫁は、私がさがしてやる」と言われ、やむなく出した手紙だったのです。
     
  7. X女は、Y男の態度豹変に結婚をあきらめました。
    さいわいにも、婚姻届を出していなかったことが救いでした。
     
  8. しかし、X女は、Y男を許すことができず、内縁の不当破棄を理由に慰謝料請求をしました。
判 旨
  1. いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くのみで、婚姻に準ずる関係です。
    ただ、法律上の婚姻といえないだけです。
     

  2. 民法第709条は、次のように、「不法行為による損害賠償」を、規定しています。
    「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
     

  3. そして、民法第709条の「権利」とは、厳密な意味での権利でなくてもいいのです。
    それは、法律上保護されるべき利益があれば、足りるのです。
     

  4. 内縁も、保護されるべき利益としての生活関係です。
    よって、内縁が、正当な理由なく破棄されれば、やはり守らなければなりません。
     

  5. 本件は、X・Yの内縁が、正当な理由なく一方的に、Y男によって破棄されました。
    これは、故意または過失により権利が侵害されたものです。
    Y男には、不法行為の責任を肯定することができます。
     

  6. よって、X女は、Y男にたいして、不法行為を理由に損害賠償(慰謝料)を請求できます。
    また、婚姻予約の不履行を理由に損害賠償を求めることもできます。 

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相続放棄の期間

民法雑記帳・総説 
  1. 民法全1044条は、私法として、私達に深くかかわりあうものですが、やはり難解です。
    その難解な法文に、どのような具体例で、どのように判決が出たか、解説いたします。
     

  2. 雑記帳の名のとおり、気ままに書かせていただきます。

具体的事例
  1. Aが亡くなり、多額の負債が相続財産となりました。
    Aの父親Xは、突然に債権者から、「相続人だから、支払え」と、請求されました。
     
  2. 驚いたXは、村の物知り爺さんに相談して、相続放棄ということを知りました。
    そこで、家庭裁判所に、相続放棄の申述を行いました。
     
  3. しかし、民法の定める申述期間(3箇月)が経過していたため、却下されました。
    Xは、多額の負債を相続する不当性に怒り、徹底的に争いました。
     
  4. Xは、次の理由を主張しました。
    (1) Aは、生前Bと結婚式をあげ同居していた。
    まさか、婚姻届が出されていないとは、知らなかった。 
    (2) 相続放棄についても、不知であった。
    Aの相続人は、Bと思っていた。
    自分が相続人となることを知ったから、相続放棄をしたのだ。
決定要旨
  1. 民法第915条は、次のように規定しています。
    「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から、3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」
     

  2. 同条の、「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、次の意味です。
    すなわち、相続開始の事実および自己が相続人であることを、知った時です。
     

  3. Xは、法律の不知又は事実の誤認で、自己が相続人あることを知らなかったのです。
    そして、その事実を知ってから、3箇月以内に、相続放棄の申述をしています。
     

  4. よって、Xの相続放棄は有効です。

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民法雑記帳・総説 
  1. 民法全1044条は、私法として、私達に深くかかわりあうものですが、やはり難解です。 
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具体的事案
  1. 夫X男・妻Y女は、離婚届を作成し、Y女が保管していました。
    一週間後に、Y女は、証人の署名・押印をもらい、市役所に提出しました。
     
  2. しかし、X男は、Y女の提出前日に、市役所の担当職員Aに、離婚届を受理しないように、口頭で申し出ていました。
     
  3. それにもかかわらず、職員Aは、Y女の提出した離婚届を受理しました。
    Aは、離婚届が、間違いなく記載されていたので受理したのです。
     
  4. そこで、X男は、離婚届出無効確認の訴えをしました。
判決要旨
  1. 民法第764条は、次のように規定しています。
    「-----第739条---の規定は、協議上の離婚について準用する。」
     

  2. そして、第739条第1項は、次のように定めています。
    「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」
     

  3. すなわち、協議離婚は、届出によって効力を有します。
    その届出の際には、協議離婚の意思が必要です。
     

  4. 本件は、Y女から届出がなされた当時には、X男に離婚の意思がなかったのです。
    よって、Y女の届出による協議離婚は、無効です。

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和解後の後遺症

民法雑記帳・総説 
  1. 民法全1044条は、私法として、私達に深くかかわりあうものですが、やはり難解です。
    その難解な法文に、どのような具体例で、どのように判決が出たか、解説いたします。
     

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和解後の後遺症

具体的事案

  1. 酒屋を営むA男は、妻子がありながら、女の子を見かけると、声をかけます。
    「ねえ、彼女お茶しない?」とか、「食事、どう?」など、です。
    天井をむいた鼻、ぶ厚い唇、しかも、顔は逆三角形なので、誰も相手にしません。
     
  2. ある日も、酒類を配達中に、信号待ちをしていて、隣の車の可愛い女の子にみとれていました。
    青信号になっても、前進しながら、彼女を見ながらの運転です。
     
  3. ぼんやり運転のためか、Y会社(B女運転)のトラックに、接触されました。
    ショックで、ハンドルに頭をぶっつけ気絶をし、救急車で運ばれ念のため入院しました。
    しかし、翌日には、Aは、血も出ず痛みもないので、たいしたことはないと、思いました。
     
  4. 見舞いに来た、相手の運転手B女は、A好みの女性です。
    その場で、デートの約束をしました。
    B女は、「事故の件、許してくれるなら、いいよ」と、渋々の了承です。
     
  5. 嬉しくなったAは、Y会社のY社長との間で、金10万円を受領し、以後一切の請求をしないとの、示談をし、入院2日間で退院しました。
    10万円は、デート費用と、B女へのプレゼントで、1日で無くなりました。
     
  6. ところが、事故後1ヶ月以上たってから、Aは、頭が痛くなり、病院に行くと、Aの傷は
    重傷だとわかり、緊急手術をしました。
    しかし、後遺症が残り、損害額も、予想外の高額となりました。
     
  7. Aは、Yに対し、損害賠償をしました。
    Yは、「示談で解決してるじゃないか」と、馬のような長い顔に、不敵な笑みをうかべて
    一向に応じません。
     
  8. 生活にも困ったAは、X(国)に、労災保険金を請求し、保険給付を受けました。
     
  9. そこで、Xは、Yにたいし、Aに支払った価額を支払えと、請求しました。

最高裁判所の判決 

  1. Yは、Xに損害賠償金を、支払いなさい。
     
  2. 民法第715条は、使用者責任を規定しています。
    「ある事業のために、他人を使用する者は、被用者が、その事業の執行について、第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。---」との、規定です。
     
  3. Yは、使用人B女が、加えた損害の賠償責任があります。
    示談で、被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時、予想していた損害のみについてと、解すべきです。
     
  4. その当時に、予想できなかった不測の手術や、後遺症が発生した場合、その損害は含みません。よって、その損害賠償請求権を放棄した趣旨と、解すべきではありません。

 
(運行供用者の責任については、割愛していますので、ご了承ください)

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