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公正証書遺言とは、原則として、遺言者本人の口授(口伝えで意思を伝達する)に基づいて、公証人が作成する遺言です。
遺言者は、遺言内容を公証人に話す(口述する)だけで、実際の遺言書は公証人が書くのです。これを公正証書遺言といいます。
公正証書遺言は、遺言の作成に公証人が関与するため、方式違反によって無効になることは、殆どありません。
遺言書の原本が、公証人役場に保管されます。そのため、遺言の存在および内容が明確となります。
さらに、遺言書の偽造・変造・滅失・損傷および紛失のおそれがありません。
公証人が作成しますから、遺言者が自書できない場合にも作成できます。
自筆証書遺言と異なり、家庭裁判所の検認手続も必要ありません。
公証人役場に、原本が保管されるため、遺言の存在が明確であり、秘密にできません。
遺言の内容が、公証人および証人に知られます。
自筆証書遺言と異なり、手続が煩雑です。
公証人が作成するため、費用がかかります。
通常の公正証書は、原則として、公証人役場で作成しなければなりません。
しかし、公正証書による遺言書(公正証書遺言)の作成は、公証人が出張することによって、遺言者の自宅や入院している病院で、作成することができます。
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公正証書とは、公証人が、公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。
公証人は、公証人法に基づき、法務大臣が任命する公務員です。公証人は、元判事・検事など、法律の専門家です。
公証人の執務する場所を、公証役場あるいは公証人役場といい、全国に約300ヶ所あります。
公正証書には、遺言公正証書、離婚給付公正証書(離婚に伴う慰謝料・養育費の支払いなど)、金銭の貸借に関しての公正証書、土地・建物の賃貸借に関する公正証書など、があります。
なお、任意後見契約・事業用借地権契約は、公正証書にしなければ無効です。すなわち、当事者間で契約書を作成しても、効力がないのです。
公正証書の短所としては、有料となることです。公証人に支払う手数料、公正証書謄本作成の用紙代など、が必要です。
また、原則として、公証役場へ出頭しなければなりません。しかし、公証人に出張していただくことは、可能です。出張の場合は、出張費・交通費が加算されます。
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公正証書遺言には、自筆証書遺言と異なった要件があります。
証人の立会い、遺言者の口授などです。個別に、検討します。
公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要です。
証人の立会いが無い場合、作成された公正証書遺言は、無効となります。
証人の立会いを要求されるのは、次のような理由です。
第一に、証人は、遺言者の同一性・精神状態が確かなことを、証明します。
第二に、証人は、遺言内容が、遺言者の意思から出たもので、真実に成立したことを、
証明します。
第三に、 証人は、公証人の職権乱用を防止する任務を有します。
証人は、途中で退席することは、できません。最初から最後まで、同席する必要があります。
証人は、公証人が筆記した遺言書が、遺言者の口述内容通り正確に書かれていることを
確認します。
そして、最後に、遺言書に署名、押印しなければなりません。
遺言者が、遺言の趣旨を、公証人に口授することが必要です。
遺言者は、公証人に口授することを要しますが、遺言の趣旨の口授でかまいません。
公証人は、遺言者の口述を筆記した後、これを、遺言者および証人に読み聞かせ、または閲覧させなければなりません。
これは、公証人が、筆記した内容の確認のため、必要とされるものです。
閲覧は、遺言者が耳が聞こえる場合でも、読み聞かせにかえることが出来ます。
耳が聞こえない者が、遺言者であったり証人である場合には、公証人は、筆記した内容を、通訳人の通訳により、遺言者または証人に伝えることができます。
この場合は、その旨を公正証書遺言書に付記しなければなりません。
遺言者および証人が、公証人の筆記の正確なことを承認した後、公正証書遺言書に、
署名・押印をしなければなりません。
なお、遺言者が署名できない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。
最後に、公証人が、敵式な手続にしたがって、作成したものである旨を付記して、署名・押印をいたします。
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自筆証書遺言と公正証書遺言の違い 列挙
自筆証書遺言の遺言者は、全文を自書する必要があります。
公正証書遺言の遺言者は、公証人の筆記内容が、自分の口述内容を正しく筆記している事を、承認する署名だけです。
自筆証書遺言は、方式不備で無効になることが多々あります。
公正証書遺言は、専門の公証人が直接筆記しますので、そのような事はないでしょう。
自筆証書遺言は、秘密保持に適しています。遺言の存在をも秘密にできます。
公正証書遺言は、少なくとも、公証人および証人には、遺言の内容まで知られてしまいます。
自筆証書遺言は、筆記用具や作成用紙も、特別なものは必要ありませんから、費用は殆どかかりません。
公正証書遺言は、公証人に支払う費用がかかります。なお、公正証書遺言の費用は、次の通りです。
遺産の金額・内容 | 公証人手数料 |
---|---|
100万円まで | 5,000円 |
200万円まで | 7,000円 |
500万円まで | 11,000円 |
1000万円まで | 17,000円 |
3000万円まで | 23,000円 |
5000万円まで | 29,000円 |
1億円 まで | 43,000円 |
以下、省略いたします。
(なお、他に遺言手数料11,000円、用紙代3,000円程度が必要です)
自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続きが必要です。
公正証書遺言は、検認手続きは不要です。
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一 言語明瞭を欠いた遺言者 (大審院判例大正7年3月9日)
二 公証人に聴き取りえない程度の応答 (大審院判例昭和13年9月28日)
三 遺言者の原稿の作成 (大審院判例昭和9年7月10日)
一 目録に従って記載と述べた場合 (大審院判例大正8年7月8日)
二 他人から聴き作成後、読み聞かせ (最高裁判所判例昭和43年12月20日)
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