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 事実上の相続放棄

総説
  1. 民法上の相続放棄の規定は、かなり厳格です。
     

  2. たとえば、相続放棄の熟慮期間です。
    民法第915条第1項は、次のように規定しています。

    「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相
    続について、------放棄をしなければならない。」との、定めです。
     

  3. また、相続放棄の撤回については、第919条第1項は、次のように否定しています。
    「相続の----放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。」との、規定です。
     

  4. さらに、「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなら
    ない。」と、第938条は、規定しています。

事実上の相続放棄
  1. それでは、915条の、「3箇月」の熟慮期間を過ぎた場合は、他の方法では、放棄と
    同様の効果は、認められないのでしょうか。
     
  2. また、家庭裁判所への申述の手間を、嫌がった相続人は、救われないのでしょうか。
     
  3. かような相続人は、他の方法で放棄と同様な効果を、実現しています。
    「事実上の放棄」と、呼ばれています。
     
  4. これによって、各相続人の相続分やその内容を、柔軟に調整しています。
    また、相続登記を、容易にしています。
     
  5. 各種類型を、ご紹介いたします。
相続放棄契約
  1. 典型的には、被相続人が死亡する前に、相続人間でなされます。
     
  2. 一部の相続人が、自分の相続分を、事前に放棄する契約です。
    契約書は、放棄する者が、実印を押して署名することも、あるようです。
     
  3. 判例は、相続人の間で、次順位者などと放棄をする意思表示・合意をしても、無効としています。
共有持分権の放棄
  1. これは、一部の相続人が、相続開始により一旦承継した共有持分権を、放棄するものです。
     
  2. これにより、他の相続人の相続分が増加します。したがって、実質的に相続放棄と同様になります。
     
  3. 形式上は、「相続放棄」と異なりますから、裁判所への申述手続きは不要です。
    判例も、有効性を認めています。
特別受益証明書
  1. 一部の相続人が、特別受益証明書を、作成・提出するものです。
     
  2. これは、被相続人の生前に、相当の財産を得ているから、もはや相続分がないとの証明書です。
     
  3. これにより、他の相続人は、相続分が増加します。一人を除いて、他の相続人全員が、特別受益証明書を作成・提出すれば、単独相続となります。
相続分をゼロとする遺産分割
  1. 遺産分割は、相続人全員でしなければなりません。
     

  2. この場合に、一人の相続人を除き、他の相続人全員の相続分を、ゼロとする分割も可能です。
     

  3. これにより、単独相続となります。

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「相続放棄 相続承認」

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