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 特別縁故者の範囲

総説
  1. 特別縁故者に対する相続財産の分与は、民法第958条の3に規定されています。
    1962年の民法改正で、新設された条項です。
     

  2. 当時の相続法は、民法旧規定(戦前)と異なり、相続人の範囲も、比較的狭くなり、遺言もあまり利用されていませんでした。
     

  3. そのため、相続人が存在しない場合、相続財産は全て国庫に帰属していました。
     

  4. しかし、国庫に帰属させるよりも、被相続人と何らかの縁故関係にある者に、取得させるほうが望ましいことです。
     

  5. このような観点から、特別縁故者への相続財産分与の制度が規定されました。

法定の、特別縁故者の範囲
  1. 民法の規定は、 三者を定めています。
     

  2. 第一に、被相続人と、生計を同じくしていた者です。
    第二に、被相続人の、療養看護に努めた者です。
    第三に、その他、被相続人と特別の縁故があった者です。

被相続人と生計を同じくしていた者
  1. これは、被相続人と家計を同じくして生活していた者のことです。
     
  2. たとえば、内縁の配偶者、事実上の養親子、子供の妻が該当します。しかし、必ずしも、親族である必要はありません。
     
  3. 判例は、次のように、全くの他人にも認めています。
    「甲は、失業対策事業の、日雇人夫仲間である被相続人と、12年にわたり生活をともにし、かつ同人の病気の際に、療養看護に努めた者で、特別縁故者に該当する」
被相続人の療養看護に努めた者
  1. これは、被相続人に対し献身的に、療養看護に尽くした者をいいます。
     
  2. 同居していた者が、看護するのが通常ですから、前述の、生計を同じくしていた者にも該当することが多くあります。
     
  3. 民生委員、職場の元同僚、元従業員が該当することもあります。
     
  4. 付添婦や看護師のように対価を得ている者は、どうでしょうか。原則として、特別縁故者には当たらないとされています。
     
  5. しかし、「対価としての報酬以上に、被相続人の看護に尽力した看護婦は該当する」と、した裁判例があります。
その他、被相続人と特別の縁故があった者
  1. 前述に、準ずる程度に密接な縁故関係がある者です。 
     
  2. 親族あるいは近隣者として、通常の交際をしていただけの者は、不該当です。
     
  3. 親族者で、被相続人の生前に生活上の支援をしていた場合は、該当例が多いようです。
     
  4. 他人でも、次のように認められた例があります。 
    (1) 被相続人と50年間親交があり、相談相手として、また経済的にも助け合い、最後は死に水までとった、被相続人の元教え子。 
    (2) 被相続人のために、家屋を購入してやり、かつ10年以上も被相続人一家の生活
    を援助した、被相続人の元雇い主。
     
  5. 法人などの団体も、特別縁故者として認められた事例があります。 
    (1) 被相続人が、生前40年近く経営者・代表者として発展に努め、私財を投じて財政
    的基盤を固めてきた、学校法人。 
    (2) 方式不備のため無効な遺言であるが、被相続人が、長年居住してきた市に対し、
    遺産を同市の老人福祉事業に充ててほしいと意図していた場合の、寝屋川市。 
    (3) 被相続人が生活し、そこで死亡した養老院、養護老人ホーム。

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