相続法概説・民法刑法雑記帳・親族法相続法豆知識

 相続法の、条文および判例を、個別にご紹介いたします。

 

 民法雑記帳は、民法の条文を、具体的事例・判例をとおして、ご紹介します。

 刑法雑記帳も、同様です。

 

 親族法、相続法は、親子関係・婚姻・相続など、私たちの身近な法律を規定しています。

 それらを、豆知識として、ご紹介いたします。

 

 身近な法律に関連して、裁判になったおもしろい事件が、判例集にも掲載されています。

 民事笑事件、刑事笑事件として、ご紹介いたします。

 

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   ・ 相続法条文・判例概説

 

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 建物賃借権・慰謝料・生命保険金・保証債務の相続

 被相続人が亡くなり、相続が開始しても、被相続人のすべての財産が、「相続財産」となる

ものではありません。

 

 問題となる「財産」を、ご説明いたします。

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  ・ 損害賠償請求権の相続(財産損害・慰謝料)

  ・ 保証債務・身元保証の相続

 債務の相続<保証債務・身元保証> (司法書士/越谷・草加・春日部)


 総説

 

 1 通常の債務は、相続されます。

   被相続人に属した義務として、承継されるのです。

 

 2 問題は、保証債務や身元保証、包括的信用保証です。

   当事者間の、個人的信頼関係を前提とするからです。


 

 通常の保証債務の相続 

 

 

 1 主たる債務が、消費貸借上の債務や、賃貸借上の債務であるような通常の保証

  債務は、相続の対象となり、相続財産に属します。

 

 2 すなわち、保証人が死亡しても、これによって消滅しません。

   相続人に承継されるのです。 


 

 身元保証債務・包括的信用保証債務の相続

 

 

 一 継続的債権関係から生ずる、不特定の債務の保証を、継続的保証といいます。

 

  1 継続的保証のうち、身元保証は、被用者が、使用者に対して、将来負担するかも

   しれない債務の保証です。

 

  2 信用保証は、一定の継続的取引関係から生ずる債務の保証です。

 

  3 そして、包括的信用保証は、限度額も保証期間の定めもない信用保証をいいます。



 二 身元保証債務や、包括的信用保証債務は、相続の対象とはなりません。

 

  1 これらの債務は、保証人の死亡によって、消滅します。

 

  2 これは、責任の及ぶ範囲が極めて広汎となることが一つの原因です。

 

  3 また、契約締結の当事者の、人的信用関係を基礎とするもので、主たる債務者の、

   主観的色彩が、特に強いことからも導かれます。


 

 三 最高裁判所の判例も、次のように述べ、相続を否定しています。

 

  1 継続的取引について、将来負担することがあるべき債務についてした、責任の限

   度額ならびに期間について、定めのない連帯保証契約は、特定債務についての通

   常の連帯保証と異なります。

 

  2 すなわち、その責任の及ぶ範囲が極めて広汎となり、また、契約締結当事者の、

   人的信用関係を基礎とします。

 

  3 かような保証人たる地位は、特段の事由のないかぎり、当事者その者と、終始す

   る関係にあります。

 

  4 したがって、連帯保証人の死亡後に生じた主債務については、その相続人が、連

   帯保証債務を承継せず、なんら負担するものではありません。

 

 

 四 ただし、身元保証契約等に基づいて、すでに具体的に発生した債務は、相続の対

  象となり、承継されます。

 

 

 

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 生命保険金の相続 (美馬司法・行政書士/越谷市・草加市・春日部市) 


 生命保険金



 1 生命保険金は、生命保険契約で、被相続人を被保険者とし、相続人(妻や子)を、

  受取人に指定した場合、被保険者の死亡により支払われます。

   (本テーマより、受取人が、第三者である場合は、 割愛いたします。)

 

 2 この生命保険金が、相続財産となるか否かは、契約内容により決まりますが、相

  続財産となる場合は、限られています。

 

 3 「受取人」を、誰にするかで異なりますので、場合分けをして検討します。


 

 生命保険金の相続の検討


 

 一 受取人を、相続人中の特定者(たとえば、長男A)と、した場合。

 

  1 生命保険金は、相続財産ではありません。

 

  2 この場合、相続人以外の第三者を受取人とした場合と同様、その保険金取得は、

   保険契約に基づくもので、相続によるものではないからです。

 

 

 二 受取人を、「相続人」と、指定した場合。

 

  1 生命保険金取得は、保険契約に基づくもので、相続によるものではありません。

 

  2 この場合、相続人が受け取るべき権利の割合は、相続分の割合によるのが、通

   常です。

 

 

 三 受取人を、被保険者自身と、した場合。

 

  1 相続人が、生命保険金を取得しますが、取得構成の考え方に差異があります。

 

   @ 第一は、被相続人の死亡により、その相続人が、受取人の地位を、相続に

    より承継する、つまり、生命保険金は、相続財産となるとする考え方です。

 

   A 第二は、生命保険金は、相続財産とはならず、相続人が固有に取得するとの

    考え方です。 


 

 四 受取人が死亡し、被相続人が再指定をしない場合。

 

  1 生命保険金は、受取人の相続人が受領します。

 

 

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 生命保険金・債務の相続 (司法・行政書士/越谷・草加・春日部) 


 相続財産の承継・原則



 1 民法第896条は、相続の一般的効力を定めています。

   「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継

  する。」との、規定です。

 

 2 この条文は、財産法上の地位の包括承継を、定めたものです。

 

 3 具体的な権利や義務は、当然承継されます。

 

 4 権利・義務として、具体的に発生していない財産法上の法律関係ないし法的地位

  も、承継されます。

 

 5 たとえば、申込を受ける地位、売主として担保の責に任ずる地位、善意者・悪意者

  の地位なども、承継します。

 


 相続財産の承継・例外


 

 1 民法第896条但書は、「被相続人の一身に専属したもの」は、承継されないと、例外

  を定めています。

 

 2 一身専属権というのは、被相続人その人にだけ帰属し、相続人に帰属することのでき

  ない性質のものです。

 

 3 委任状の権利・義務など、帰属上の一身専属権と、称するものです。

 

 4 よって、譲渡禁止の債権は、譲渡は許されないが、相続は認められます。


 

 相続財産の範囲

 

 

 1 相続財産の範囲は、具体的に相続財産に属する権利・義務は、何であるかということ

  です。

 

 2 逆にいえば、一身専属権として承継されないのは何か、という問題です。

 

 2 ここでは、まず、生命保険金の相続を、検討します。

   さらに、保証債務を中心とした債務の相続を、検討いたします。

 


  「生命保険金の相続」は、こちらをご覧ください → □  

 

  「債務の相続」は、こちらをご覧ください → □ 

 

  「同時死亡の推定」は、こちらをご覧ください → 

 

  「特別受益者の範囲」は、こちらをご覧ください → 

  


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 損害賠償請求権の相続<財産損害・慰謝料> (司法・行政書士/越谷)


 総説


 1 不法行為や債務不履行による損害賠償請求権は、財産上の権利として、相続さ

  れます。

 

 2 ただし、生命侵害の場合、財産的損害の賠償請求権、非財産的損害の慰謝料請

  求権について、若干の問題があります。

 

 3 それは、死者の権利主体性の、観点からの問題です。

 

 4 さらに、慰謝料請求権の場合は、一身専属性の、観点からも問題があります。

 

   この問題を、検討します。



 財産的損害賠償請求権の相続



 
1 被相続人が、事故で即死した場合、その人は死亡によって権利主体でなくなります。

 

 2 よって、その人が、生命を奪われたことによる損害 (生存していたら、得られたであ

  ろう収入) 賠償請求権を、取得できないはずです。

 

 3 そうすると、その相続ということも、ありえないはずです。

   論理上は、このような帰結となります。

 

 4 しかし、これは、負傷後の死亡に比較して、はなはだしく不公平です。

 

 5 負傷後の死亡だと、負傷により被害者本人に発生した、財産的損害の賠償請求権

  が本人の死亡により、相続人に承継されるからです。

 

 6 身体侵害よりも重い生命侵害の場合に、損害賠償請求権が認められないとの不均

  衡は、避けなければなりません。

 

 7 判例は、この不均衡を避け、相続を認めています。

 

 8 すなわち、即死の場合も、致死傷と死亡との間に、観念上時間的間隔があり、その

  時に、被害者に、損害賠償請求権が発生します。

   そして、被害者の死亡によって、その損害賠償請求権が相続される、としています。

 

 9 この解決は、死者に権利主体性を認める点で、不整合さが残ります。

   しかし、実務上は、定着しているようです。

 

 

 慰謝料請求権の相続 

 

 

 1 慰謝料請求権については、一身専属性の問題があります。

 

 2 当初判例は、被害者が、慰謝料請求の意思表示をすれば、それ以降通常の金銭

  債権として相続され、被害者の一身に専属するものでない、としました。

 

 3 慰謝料請求の意思表示は、意思の表白をもって足り、加害者に到達することを要し

  ないと、されました。

 

 4 また、その表白も、緩やかに解されていました。

 

 5 たとえば、「残念、残念」とか、「向こうが悪い」と、いいつつ死んだ場合は、意思表示

  があり、とされました。

 

 6 さらに、「お母さん、痛いよ」も、意思表示とされました。

   しかし、「助けてくれ」は、それに当たらないと解されました。

 

 7 これは、意思表示ができないほどの重傷とか、即死の場合は、被害者に不利です。

 

 8 最高裁判所は、慰謝料請求権は、当然に相続されるとしました。

   慰謝料請求権は、被害法益が被害者の一身に専属するのみで、単純な金銭債権

  として、意思表示の有無を問わず、当然に相続されると、解したのです。

 

 

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 建物賃借権の相続 (司法・行政書士/越谷市・草加市・春日部市) 


 総説



 1 建物賃借権(借家権)は、財産権であり、当然に相続されます。

 

 2 しかし、現住者の居住保護という側面も、無視できません。

 

 3 たとえば、被相続人と同居しているのが内縁の妻であるとか、事実上の養子の場合、

  家主や相続人からの明渡請求によって、彼女らは住居を失うという不都合が生じます。


 相続人が存在する場合の、内縁の妻・事実上の養子の保護


 1 判例は、借家権の相続を認めたうえで、居住の内縁の妻・事実上の養子を保護して

  います。

 

 2 すなわち、相続人がいる場合には、賃貸人からの明渡請求に対して、同居者は、そ

  れら相続人の有する借家権を援用して、居住を継続できる、としています。

 

 3 相続人からの明渡請求に対しては、権利の濫用として、許されない場合があるとして、

  居住者を保護しています。


 相続人が不存在の場合の、内縁の妻・事実上の養子の保護


 1 借地借家法で、立法的手当てがなされています。

 

 2 すなわち、居住用借家の借家人が死亡した場合、内縁配偶者や事実上の養親子

  の関係にあった同居者が、借家人の権利義務を承継する、とされています。

 

 2 また、相続人不存在の場合の特別縁故者への遺産分与の制度(民法第958条の3)

  に基づき、内縁配偶者等に、借家権が分与される余地もあります。  


 共同相続人の場合


 1 建物賃借権の共同相続人のなかに、居住者と非居住者がいた場合、居住者は保護

  されるのでしょうか。

 

 2 判例は、居住者の保護を認めているようです。

  

 3 その理論構成としては、建物賃借権の相続を、当該家屋の居住者ないしは世帯主に

  のみ認め、非居住者の相続権を否定する、方法です。

   

 4 また、相続人全員が一応承継するものとしつつ、相続後に賃借権を行使しない者は、

  それを放棄したものと擬制する、との構成も採用しています。


 解除または解約申入れの宛先


 1 共同相続の場合に、賃貸人からの、解除または解約申入れ、さらに、それらを前提

  とする明渡請求を、誰に対してするかの問題があります。

 

 2 賃貸人は、相続人全員に対して、意思表示をしなければならないと、解されています。

 

 

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 債権の相続 (美馬司法書士・行政書士/越谷市・草加市・春日部市) 


 総説



 1 民法第896条は、相続の一般的効力を、規定しています。

 

 2 民法第896条

   「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継

  する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

 

 3 この規定より、相続の一般的効果として、被相続人の死亡により被相続人に属して

  いた一切の権利義務が、包括的に相続人に承継されます(包括承継)。

 

 4 この効果は、相続人が相続開始の事実を知るか否かは、関係ありません。

   相続登記の有無も、関係ありません。

 

 5 要するに、この効果は、法律上当然に生じる旨を定めたものです(当然承継)。 


 債権の相続


 1 被相続人に属した債権は、財産の一種として相続されるのが、原則です。

 

 2 建物賃借権(借家権)も、相続されます。

   ただ、建物賃借権の場合に、内縁の配偶者がいた場合の保護も問題となり、議論が

  あります。

 

 3 損害賠償請求権も、相続されます。

   ただし、生命侵害による損害賠償請求権については、問題があります。

 

   以下で、検討いたします。

 

 

 「建物賃借権(借家権)の相続」は、こちらをご覧ください → 

 

 「損害賠償請求権の相続」は、こちらをご覧ください →   

 

 「配偶者の相続権」は、こちらをご覧ください → □  

  

 

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