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1.家族的、相続的協同関係を破壊する行為も、著しい非行と考えられています。たとえば、賭博を繰り返して多額の借財をつくり、これを被相続人に支払わせ、愛人と同棲して妻子をかえりみない行為、あるいは金品等の持出しを繰り返し、意見しようとする被相続人に対して暴力を振るい、家出して所在不明になり、被相続人にサラ金業者や以前の勤務先に対する借金返済の対応に苦慮させているなども、これに該当します。
2.以上に反して、被相続人に非行の一因があるときは、別個に考えられます。たとえば、老人に対して軽微ではない程度の暴行があり、相続的共同体を破壊するものであっても、その遠因が被相続人において妻生存中から妾を囲い、死亡後一周忌を済まないうちに、周囲に理解を求める誠意、努力がないまま、その反対を押し切って同女と再婚し、自己の立場のみを強調し相手方との融和を図ろうとしなかった場合は、廃除原因とはならないとされています。
3.また、被相続人が支配している会社の倒産を避けるべく奔走している時期に、相続人が同会社の資産を業務上横領した行為は、会社が大手企業となり、業務執行面や財産所有関係において、被相続人と区別されている以上、相続人の行為は、被相続人個人に対する非行とはとらえられないため、廃除原因とはなりません。
4.相続人の行為が、相続的協同関係を破壊する程度に客観的に重大なものでないときは、廃除事由としての非行とはなりません。
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美馬 克康(みま かつやす)
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