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相続の放棄 ③

1.相続開始前の相続放棄、あるいは相続放棄契約といっても、これが効力を生じ得るのは相       続開始時であるから、具体的には、相続開始後において、相続開始前に相続放棄の意思表       示をした者が、相続権を主張することは、認められるかという問題です。

2.判例は、大審院の多数の裁判例が、相続開始前の相続放棄、相続放棄契約の効力を否定し       ています。現行法のもとでも、下級審裁判例は、当事者間で事前に相続放棄の意思表示を       しても、無効であるとしています。

3.その理由は、「遺産の範囲は、相続の開始により初めて確定するのであって、その相続放       棄や分割協議の意思表示は、その時以後における各相続人の意思によりなさるべきもので       ある」と、しています。

4.学説のほとんども、判例と同様に、相続の事前放棄を否定しています。相続放棄は、相続       開始後に、家庭裁判所への申述という要式行為によってなされるべきとされており、未だ       生じていない相続権の自由な処分は、認められないことになります。

5.破産との関係ですが、相続財産が債務超過の場合、相続財産破産制度を利用して、相続財       産の清算手続きを行うことができます。

6.相続財産破産制度の存在意義は、相続財産と相続債権の公平な清算、および相続財産を承       継し、相続債権の債務者となった相続人の固有財産の保護を図る点にある、とされていま       す。

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